2018-07-01から1ヶ月間の記事一覧
川岸の木陰に荷物を放り投げ、お疲れのメンバー全員がバラバラに寝転んでいると、「本当に今日帰りたいか?」と、ハンサム君が確認をしてきた。 なんだか悪い気もするが、急に予定を変更してきたのは向こうなのだし、遠慮なく帰ることにする。ハンサム君の父親…
相談が終わると、ハンサム君が改まった表情で、僕に話をしにやってきた。 なんでも、帰る途中でテントを張り、もう1泊して夜と朝釣りをしていかないか、というものだった。 それは良い釣りのチャンスになるだろうが、もう僕は足が痛くてウェーダーを履く気…
寒さで途中に目を覚ますこともなく、すぐに4時をになる。寒くないのは、考えてみれば当然なのだ。小屋が少しボロいというだけで、いつも寝ている環境と大差がないのだから。 朝マズメにもうひと勝負と思っていたが、なかなか一歩が踏み出せない。足の踵の傷…
タイメンをリリースし終わると、キープしていたレノックを、ハンサム君の父親が料理し出した。 スープと焼いたものと2品も作ってくれたのだが、味付けが素晴らしく、どちらも絶品だった。結構サイズの良い魚ばかりで、メンバーでは食べきれないほどの量があ…
小屋の前で火を起こしたり、停まる準備をしていると、山の中から馬を引き連れたモンゴル人スタッフがやってきた。馬にはいくらかの酒やキャンプ道具などが載せてあったが、ボートを回収して運ぶのが一番の役目らしかった。 焚き火の周りでくつろいでいると、…
「とにかく夜は寒くないように準備しよう」翌朝になり小遠征の支度をしていると、ルームメイトもハンサム君も繰り返し言ってくる。ダウンやヒートテックを準備して、濡れないようにパッキングする。 この時点では、今夜は夜釣りをしながら、ブルーシートを敷い…
夕方4時に食堂に昼御飯を食べに行くと、おばさんが「あなた、久しぶりじゃない!大丈夫?」というような感じで声をかけてくる。昨日の夜御飯も朝も食べていないので、よくよく考えてみると24時間ぶりの食事だった。 おばさんは、頼まなくても、スープを何杯も…
すっかり酔いもさめて、喉がカラカラになって目覚めた朝。「今日こそは昼間は釣りに行かないで、酒も飲み過ぎず、夕方の釣りに集中するのだ」と決心を固めながら、ベッドでゴロゴロとしていた。 しかし、ルームメイトが8時過ぎに起きて、ちょっと上流にフラ…
酔い潰れてチャンスを逃すなど、かなり釣りに対して投げやりになってきたこのあたりで、このキャンプ地での暮らしぶりについて、少し説明しておこうと思う。 このキャンプ地には、寝室となる小屋がいくつか、食堂とシャワールームと洗面台がある建物、倉庫ら…
もう身体が干からびてしまうほどの、無駄に体力を消耗しただけの釣りから帰ってきて、早速涼しい部屋の中で昼寝をしようと思ったが、屋外のベンチで行われていた他の部屋のメンバーの酒盛りに誘われて、ついつい乗ってしまう。 炎天下の下、ビールとウォッカ…
しっかりと睡眠をとって目覚めてみたものの、今日もルームメイトはなかなか起きない。起きたと思ったら、コーヒーを飲もうと言い出し、食堂へ。ついさっきまで、他の部屋の方々が飲み明かしていたらしく、テーブルの上には、酒の空瓶が散乱している。つまり…
「今日の夕方は釣りに行かないで、明日の朝早く釣りに行かないか?」昼寝を終えて、夜8時に夕食を終えた後、ルームメイトがそう提案してきた。 夕方の釣りとは言っても、釣れるのは暗くなった10時過ぎで、ほぼ夜釣りだ。夜釣りは、写真が撮りにくいし、日本で…
「明日の朝は5時に釣りに行こう」とルームメイトが言ったので、翌朝はその時間に起きてみたものの、ルームメイトはなかなか起きない。隣の部屋のハンサム君達は、起きているようなので、もう部屋から出て、釣りの準備をした。 ダウンのシャツを着て、ニット帽…
それにしても、暑すぎやしないか。今さらながら、昨日からの日中の行動を振り返りながら、僕は思っていた。 今は6月の中旬だ。ここは、近くの山の頂に白い雪が見えるほど、標高の高い場所で、周囲をタイガの森に囲まれている。 まだ春と言ってもいいばすの…
翌朝、目を覚ましてみても、誰も目を覚ます気配はない。 8時過ぎにルームメイトが目を覚まして、朝食をとることにした。こんな風に、食事の時間は、人によってバラバラで、めちゃくちゃなのだから、その支度をするおばさん達は大変だろう。 多少、釣りの話を…
夜8時を過ぎて陽が傾き始めた頃、荷物と酒類を満載したラクダが到着して、キャンプに歓声が響き渡る。 酒は皆さんにとって命の水のようなものであるからか、運んできてくれたラクダ達を、しきりに労っていた。 そうこうするうちに、「ご飯だよー」と食堂から…
さて、ファイト一発激流に漕ぎ出してみたわけだけれど、どんどんと川を下っていくわけでもなく、ちょこちょこと船を岸につけては、釣りをしていくことになる。 強い流れの中を歩くのも、その中を釣るのも、正直言って、めんどくさいので、「今日は何も釣れな…
新しい朝が来た。希望の朝だが、誰一人として目を覚ます気配がない。 まだここが目的地ではないのだから、さっさと先に行こうぜ!という気がしないでもないのだけれども、我々には時間はいくらでもあるし、先を急ぐようなちんけな旅でもないのだ。 一番疲れ…
ほどなくして、先行していた途中まで同じ行程のグループの車と合流して、車列は三台編成になった。 パンク、給油、休憩、橋にゲートを作る民間の関所みたいな所で金をとられる、などなどありつつも、概ね順調に旅は続き、車内にはじんわりと疲労感が広がって…
白タクのような青年に、お礼を言う間もなく、空港で待ち構えていたお姉さんに連れられて、今朝ウランバートルに到着した釣り軍団に合流させられた。 空港の片隅には、大小様々なロッドケースが積み重なっていて、周囲には主にヨーロッパからの長旅でお疲れ気…
何度目かのチンギスハーン国際空港。夜の10時過ぎ。 旭川空港よりも小さくて、日本の田舎の町役場くらいの建物。ちょっと来ない間に改装をしたのか、所々綺麗になっている。せっかく綺麗にしたのに、新しい空港を建てる計画もあるらしい。 入国審査を終えて…
「ツキの構造」という、釣り人にとっては、なんとも恐ろしい話が、開高健の「私の釣魚大全」の中に収録されている。 この話は、釣りの「ツキ」にとことん見放され、それを取り戻すまでの連戦連敗の過程を、煮えくり返る釣り人の醜い心情もそのままに、赤裸々…
現代の日本の釣りには、ing(~イング)のついた、奇妙な釣方の名称が、沢山存在する。このような言葉を、使用するか、好ましく思っているかは、その人の「釣り具業界に踊らされている度合い」を推し量る、良い指標になると思う。 エギング、エビング、チニ…
私が日頃良くお世話になっている、この二種類の魚について、釣り人目線で簡単に比べてみた。釣りをしない人からすれば、同じようなものかもしれないが、釣り人目線で見てみると、かなり違うものだ。 見た目の違い。 まず体型が違う。 どちらも1メートル以下…
値段が高くない。どこでも手に入る。どんな魚でもよく釣れる。これだけ持っていれば、様々な状況に対応できる。そんな夢のようなルアーが、ダイワのチヌークです。 本当に信用できるルアーとは、こういうものだ。 旧型のチヌーク、チヌーク S、レーザーチヌ…
「釣りは魚に教われ」という言葉があるが、良い言葉だと思う。本当に釣りを教えてくれるのは、Yahoo!知恵袋でも5ちゃんねるでもないし、経験者やエキスパートでもない。 まず、本当に魚が釣りたかったら、自分でその方法を本を読んで調べたり考えたりするだ…
フライフィッシングをする人というと、みなさんはどのようなイメージをお持ちだろうか? 道具が高価で、要求される技術も高いので、聡明な人の趣味というイメージがあるのではないだろうか。 しかし、どうも最近はそうではなくなってきているようである。こ…
よくインターネット上で散見される書き込みで、笑わせられるものがある。ワームがルアーであると、理解していないような内容のものだ。 「ルアーじゃなくて、ワームじゃダメですか?」「ルアーとワームどっちが良いですか?」「ワームとルアーを拾った」など…
「スピニングリールのベールスプリングが、折れるのではないか」、そんな心配を日々抱えながら生きている釣り人は、現代では少数派だろう。 インスプールリールや、トーションスプリングが使われている古いアウトスプールのスピニングリールのベールスプリン…
釣りのテーマソングのようなものを持っている方は、結構多いのではないだろうか。いつも釣りの行き帰りに車の中で聞く曲、釣りの最中についつい口ずさむ曲などなど。 僕には、釣り場に向かう時から釣りから帰ってきて眠るまで、頭の中でぐるぐるとリピートさ…