相談が終わると、ハンサム君が改まった表情で、僕に話をしにやってきた。
なんでも、帰る途中でテントを張り、もう1泊して夜と朝釣りをしていかないか、というものだった。
それは良い釣りのチャンスになるだろうが、もう僕は足が痛くてウェーダーを履く気がない状態だし、たとえ釣りをしても、昨日も今日もまともなサイズが釣れたのは、禁じられた釣りなのだし、ルアーしか投げない僕には不利なのではないか、と思えてきた。
「それでもいいけれど、足の状態が悪いので、出来るなら、一人でも帰りたい」
と、ここははっきりと主張しておく。
一昨日から、どんどん僕の歩き方がおかしくなっていっていたので、それなりに納得してくれたようだ。
ハンサム君の父親はお医者さんなので、ほっとけないと思ったのか、「それなら私も、今日帰ろう」と言ってくれた。
なんとなく予定が決まり、荷物を載せた馬にスタッフが乗り込み、先行して出発する。
「それで大丈夫なのか?」
と、みんなが僕の足元のビーサンに注目して聞いてきた。
「問題ない、ジャパニーズトラディショナルスタイルだ。サムライもこんな感じだった」
と言って、無理矢理納得させて出発する。
サムライスタイルは、今の僕には、なかなか快適だった。グリップも良いし、森の中を歩くのにはピッタリだ。
しかし、川などぬかるみを歩くと、たちまち悲劇が起こる。
ハマった足を泥から引き抜くと、鼻緒のつけ根がソールから抜けてしまう。
手で押し込めば、すぐに直るのだが、また沼地ではすぐに抜けてしまう。
少しでも歩みを止めれば、蚊柱に包まれる。
「サムライは沼地はダメだな~、ハッハハッ」
などと、一緒に歩くハンサム君の父親と爆笑しながら進む。
途中には、小さな熊の足跡もあったりして、深い森に入っているのだなぁ。と思わされる。
半袖、短パン、ビーサン、という、アホみたいな格好で歩いているのだが、暑くてもう汗だくだ。
他のメンバーも、結構堪えているらしく、小川がある度に水を飲んでいる。
先頭を行くガイドも、心なしかよろよろしているようで、口数が少なくなってくる。
一時間半ほど歩いて、「ガイドさん!あとどれくらいですか?」と、ふざけてハンサム君が聞くと、ガイドは、無言で広げた手を頭上に掲げた。
「ガイドさん、あと5分だって!」
と笑いながら、歩みを進める。
少し歩く度に、その指が折られて、残り時間が減っていく。
あと2分となった所で、急斜面が目の前に現れた。
それを慎重にくだると、昨日も長いこと釣りをした場所に出た。
ここで今夜は釣るつもりなのだろう。

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