フライフィッシングをする人というと、みなさんはどのようなイメージをお持ちだろうか?
道具が高価で、要求される技術も高いので、聡明な人の趣味というイメージがあるのではないだろうか。
しかし、どうも最近はそうではなくなってきているようである。
これは、人気のある道具の移り変わりを見てみると、なんとなく分かってくることだ。
Ken Sawadaというフライショップ・メーカーがあった。ロッドやリールやフライ用品を出していて、ひと昔前に人気が高かったものだ。
このメーカーの出していた書物やホームページを見てみると、少し気取っているところもあるが、気品や知性が伝わってきたものだ。
ユーザーの報告などもしっかりとした文章で書かれていて、立派な大人に愛されていた道具のようだ。
どんな世界にも流行り廃りがあるのだろう。最近はロッドの製造は止めてしまったようだが、今でも愛用し続けている人はいるので、値段も高いが品質も高い商品だったのだろう。
フライフィッシング特有のちょっとお高くとまっているような所はあるものの、このメーカーの道具の流行った時代には、フライフィッシングは、分別のある大人の趣味であったのではないだろうか。
時代が変わって、現在ロッドやフライ用品を出していて人気を得ているメーカーがある。
K―なんたらなどという名前の所だ。元々はKenSawadaの雑誌等に寄稿していた人がやっているようだが、その性格は全く違うものだ。
このメーカーのホームページやブログなどを見て、私は愕然とした。
中学受験なら採点される前に落とされるような、ひどい文章なのだ。
いかに商品が優れているか、理屈のようなことを説明していても、理屈になっていないことも多い。
また、他のフライショップのロッドを破綻した理論で攻撃していたり、品位の欠片もない。
動画などでも商品のアピールばかりで、かなり幼稚な印象を受ける。
当然、こういったものからは気品や知性は伝わってこない。伝わってくるのは、異常な商売臭さと、胡散臭さだけである。
端的に言ってしまえば、「バカなんじゃないか」という印象である。
ちょっと分別のある大人なら、こういった胡散臭いものには、商品の品質以前の問題で飛びつかないはずである。
しかしである。
このようなものでも結構人気があって、買っている人がいるようなのである。
小学生並の口車に乗せられて、高いお金を払っている人が結構いるようなのである。
ちょっと信じられないことであるが、小学生並の口車に乗せられるということは、その人達も小学生並なのだろう。メーカーのバカっぽさを度外視するほどの、高品質なものである可能性もなくはないが。
とにかく、このような状況を見る限りでは、フライフィッシングは分別のある大人の趣味では、もうなくなってしまったのかもしれない。
これは見方を変えれば、フライフィッシングが一部の聡明な人の趣味から、大衆的な趣味になったとも言えるのかもしれない。
フライフィッシングをしている人は、ちょっと変わった格好をして高価なタックルを持っているものの、その中身は他の釣りと同じようなタダのおっさんである。
タダのおっさんの中には、当然一定数はバカなおっさんがいるので、そういった人達は、胡散臭い商売にひっかかっているのだ。
だから、フライフィッシングをしている人を見ても、「なんかカッコいいな」とか「ちょっと格式高そう」とか思う時代は、もう終わったのかもしれない。
他のジャンルの釣り人と同じ、普通のおっさんなのかもしれないのだから。