夕方4時に食堂に昼御飯を食べに行くと、おばさんが「あなた、久しぶりじゃない!大丈夫?」というような感じで声をかけてくる。
昨日の夜御飯も朝も食べていないので、よくよく考えてみると24時間ぶりの食事だった。
おばさんは、頼まなくても、スープを何杯も出してくれるし、具材の肉や野菜も僕だけたっぷり入っている気がする。
僕はどこに行っても、食べ物は残さず、美味しそうに食べるので、こういったおばさん達には、気に入られることが多い。
今日は、今まで一度も出なかった、缶詰のフルーツのようなもののデザートまで出てき
たので、よく食べる僕が丸一日現れなかったから、おばさんは心配してくれていたのかもしれない。
少し昼寝をすると、8時には夜ご飯だ。
ここでもまた山盛りのご飯をいただいていると、「今日は釣りに行くでしょ?」とハンサム君が話しかけてくる。
「一緒に行こうよ。昨日デカイのが居たんだよ」
と興奮気味だ。
「今日は絶対行くよ」
と僕が答えると、ハンサム君は、ガイドを「今日も一緒に行こうよ。彼も行くんだから」と誘う。
「そんじゃ、まあ行くかなぁ」といった感じで、ガイドは椅子に寝そべっていた身体を起こして、準備に向かった。
僕達も食堂を出てみると、真っ黒い雲が近づいてきていて、今にも雨が降りだしそうだ。
これは、早めに出掛けた方が良さそうなので、準備を急ぐ。
ルームメイトは、まだこれから食堂に行くようで、タイミングが合わずに、ハンサム君と父親とガイドで、釣りに行くことにした。
まず、近場の初日に120センチの上がったポイントで、ちょっとみんなで試してみる。
ガイドが、「今日は一匹いるなぁ」と言うが、誰にも釣れる気配はなかった。
それからボートを少し上流に運び、必死で漕ぐと対岸にたどり着くことができた。
巨大な岩崖に流れがぶつかり、大きな淀みが出来ている。
ハンサム君の父親が、小さなミノーを投げると、レノックと小さなタイメンの入れ食いになる。
ハンサム君は、ここには書けない釣り(お察しください)をし、僕は大きめのミノーを投げてみるが、何の反応もない。
そのうちに雨が降りだし、風も突然強くなってきた。
遠くでは雷も落ちている。
短い時間だったけれど、今日はこれで引き返すことにした。
部屋に帰ってみると、ルームメイトの姿はなく、この天候でも釣りに出ているらしい。
屋根に打ち付ける雨音を聞きながら、うとうととしていると、22時過ぎに突然部屋のドアが開いた。
「あー、またかぁ」
と、僕は一瞬で状況を理解した。
濡れたレインジャケットを着たルームメイトに連れられて、川に向かう。いつの間にか、雨も止んでいた。
騒ぎに気づいた昼間の飲み仲間も、一緒に見物にきた。
ライトで川の中を照らすと、110センチほどのタイメンが釣れていた。
しかも、その場所はまさに、ついさっき「一匹居るなぁ」とガイドが言った場所だった。ちょっとの時間差はあるけれど、その言葉は的中である。
飲み仲間達は紳士的なので、写真を撮るのを手伝ってくれた。
「良かった、良かったね」
みんな口々に良いながら、真っ暗な河原を歩いて部屋に帰る。
部屋に着くと、ルームメイトは、「明日は朝7時に出発だ」と言う。
ラフティングボートで途中で釣りをしながら15キロほど下り、そこで一泊して、明後日に歩いて帰ってくると言う。
なんだか今回の釣りの山場となりそうな、小遠征だ。
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