春先の川や湖なんかの釣りでは、水温よりも気温が低いことがよくあります。
強烈に冷え込んだ朝などには、水温が4度あるのに気温がマイナス10度なんてこともあります。
このような状況では、地上に居るよりも水の中に入っていた方が暖かいということになります。
あまりに寒いため、ウェーダーを穿いて水に入るまでは、ちょっと勇気が要りますが、いざ入ってしまうと、なんだかお風呂に入っているように温かい気がしてきます。
もちろん、温度差から水中がぬるく感じているだけであり、実際には身体は冷えていっているわけですが、思ったよりもキツくはありません。
本当にキツいのは、水中から地上に上がった瞬間です。
濡れたウェーダーの表面から急激に体温を奪われていくような感覚がして、一瞬で身体が冷え切ってしまい、生命の危険を感じるレベルです。
ですから、一度水の中に入ってしまったら、あまり出たくないというのが、水中より地上が寒い時の釣り人なのです。
釣りをしない人は、凍てつくような日に水の中に立って釣りをしている人を見かけると、「こんなに寒い日に、わざわざ水の中にずっといるなんて」と言うような人も多いですが、出るのが地獄だから浸かりっぱなしになっているというのが本当のところなのですね。
まあ、やっている本人も「なんでこんな事をしなくてはならないのか」と泣きそうになっていることもありますが、水の中にさえ居れば意外と頑張れてしまうものです。