釣りをしながら車中泊なんかをして旅をしていると、「明日はどこで釣りをしようかな」なんて考えながら、次の日の予定をろくに決めずに呑気に眠りにつくことがあります。
これは、釣り人にとっては自由と満足感をいっぱいに感じられる、とても幸福な瞬間だと思います。
まず、あまり満足のいくような魚が釣れていなかったら、「明日もあそこだ!明日こそは釣れるかな…」と不安と焦りの中、眠りにつくことになるでしょうから、このように考えられるのは、釣果に満足して心に余裕がある時の証拠です。
それから、いつまでに絶対に家に帰らなければならないというように時間的な余裕がないと、「帰るまで、あそことあそこは行かなくちゃ」と予定を詰め気味になり、次の日の予定を決めずに呑気に眠りにつくことはできないでしょう。
さらに、このように「どこに行こうかな」と考えることは、そもそもが候補となるような良い釣り場が周囲に沢山なければできないことですから、釣り場としての立地にも恵まれているということになります。
このように、「明日はどこに行こうかな」と眠りにつくということは、釣果と時間と立地に恵まれた時にだけできる、釣り人としてはこれ以上ないことだと思います。
釣りをしているのに、このような経験をしたことがない釣り人がいるとしたら、なんて不幸なことでしょうか。
釣りというものは、せこせこと数日しているだけでは、どっぷりと幸せに浸かるようなことはできません。
次の日の釣りが、ちょっとどうでもよくなるくらいまでやってこそ、ようやく本当に釣りをしたと言えるのだと思います。
そして、一度でもそんな気分を味わってしまったら、なかなか釣りから抜け出すのは難しくなると思います。
そうなってくると、もう普通の社会生活を送るのは難しくなってくるかもしれませんが、それが釣りというものなのですから、まあ仕方がないことでしょう。