私が釣りに使うリールは、オールドリールと呼ばれるような古い物が多いです。
40年以上前に作られたものが普通ですし、中には50年以上前に作られたものもあります。
こういった物を使って釣りをしていると、たまにこのようなことを考えることがあります。
「前の持ち主は、今頃どうしているのだろうか」
オールドリールは外国を経由して入ってきていることが少なくないので、前の持ち主は外国の人であることが多いでしょう。
それから、古い物なら何人かの人の手を渡ってきた可能性もありますから、前の持ち主は一人ではないはずです。
そういった人達が、それぞれに魚を釣り楽しんできた物が、今自分の手の中にあると思うと、とても貴重で世界に一つしかないリールだと思えてきます。
前の持ち主の人達が、今でも釣りを楽しんでいれば、それは素敵なことなのですが、何しろ何十年も前に釣りをしていた人達のわけですから、もう高齢で釣りができなくなったり、亡くなってしまった人も沢山いるはずです。
そう考えてみると、自分は知らず知らずのうちに、誰かの遺品を手にしていることになるのかもしれません。
そうなれば、大切に扱って、亡くなってしまった人の分まで、これからも私が魚を釣っていかなくてはならないのではないかと思えてきます。
そう思って釣りを頑張っていれば、きっと亡くなった人達が、どこかで手助けして運を貸してくれるなんてこともなくはないのではないでしょうか。
オールドリールは、釣り具屋さんに売っているピカピカの工場臭いリールとは背負っているものが違うのです。
より魚が釣れることがあっても、何ら不思議ではありません。
オールドリールはこのように、存在そのものに歴史があり、味わい深いものとなっています。
釣りに、単純な効率や釣果以外のものを求める人には、うってつけのものなのではないでしょうか。