フライフィッシング用品には、ストリッピングガードという小物があります。
ラインをたぐってくる時に、人指し指か中指あたりにはめておき、指がラインの摩擦で切れたり荒れたりするのを防ぐものです。
一日中細いランニングラインをたぐりリトリーブを繰り返すような釣りをしていると、指から出血したりと大変なことになりますから、なかなかの便利グッズではあると思います。
しかし、絶対に必要なものかというと、そうでもないと思います。
まず、わざわざストリッピングガードを買わなくても、他のものでもいくらでも代用可能です。
ロッドのジョイント保護用のビニールテープを指に巻いたって良いですし、絆創膏を張っておくだけでも充分です。
ですから、ストリッピングガードなんて買わなくても、家に忘れてきても、何の心配もいらないようなものです。
それから、たとえ何も指に付けずに釣りをしても、ちょっと釣りを続けていれば、あまり気にならなくなりってしまうものです。
始めのうちは、切り傷ができたり水が染みたりと、痛い思いをするものですが、そこを乗り越えれば、釣りを続けていくうちに指のラインが当たる部分の皮が厚くなり、ラインではびくともしないフライフィッシング用の手に生まれ変わります。
道具を使って仕事をする人の手というものは、その道具に合わせて変わっているものです。
毎日ハサミを長時間使う人は、持ち手が当たる部分の皮が厚くタコのようになっていたりするようなことです。
フライラインを扱うのも、これと同じようなもので、しっかりとやりこめば、余計な道具が要らない状態に、自分の身体の方が変化するものなのです。
私は、下手に物に頼るよりも、自分の素の手だけで勝負した方が職人っぽくて粋だと思いますから、余程手の状態が危険な時以外はストリッピングガードの類は使わず、しっかりと自分の手をフライフィッシング仕様に作ることにしています。