釣りにゃんだろう

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フライキャスティングのスポーツ的要素と、それが乏しいロングリーダーの釣り。

フライフィッシングというものは、投げるのがちょっと難しいという点が、他の釣りとはちょっと違うと思います。

渓流や管理釣り場のような近距離に魚が居る場所で釣りをするなら、竿を初めて持った日でも充分に魚が釣れる可能性はあるでしょうが、大きな川や湖で遠くまで投げて釣るためには、どんなキャスト方法をとるにしても多少の練習が必要になります。

このキャスティング練習というものは、スポーツのようなもので、それだけでもなかなか楽しいものです。

 

手や手首や腕の使い方、身体の向きや重心のかけ方など、様々なことを意識して、上手くいった時にだけ、スルスルと気持ちよくラインが遠くまで飛んでいきます。

野球をしている人が、遠くまで打球を飛ばせたら気持ち良いでしょうし、サッカーをしている人が、正確にロングボールを蹴れたら気持ち良いでしょう。

フライキャスティングには、これらと似たスポーツ的楽しさと快感があります。

私は、キャスティング練習をすることが、実際に魚を釣ることより楽しいとまでは思いませんが、これはこれでこの釣りならではの大きな楽しみだと思います。

 

しかし、近頃日本の渓流で流行っているフライフィッシングには、この全身を使って遠くまで投げるスポーツ的な要素が必要とされていないようです。

やたらと長いリーダーを使い、あまりフライラインを伸ばさずに釣りをする釣り方が、幅を利かせているようなのです。

そういった釣りをするにしても、それはそれでかなりの技術が必要されて大変なことなのでしょうが、遠くに投げるというダイナミックな楽しみを放棄してしまっているとしか思えません。

 

確かに渓流で魚を釣るためには、効率が良い方法なのかもしれませんが、その効率と引き換えに、全身を使って感じられるフライフィッシングならではの楽しさと大きな喜びを捨てしまっています。

渓流での効率を重視するなら、テンカラ釣りをした方がずっと良い気がしますし、せっかくフライフィッシングをするなら、ちょっとは遠くまで飛ばす釣りをしないともったいないのではないでしょうか。

そういった釣りばかりしているから、近頃は「フライはやたらお金をかけて、渓流で小さな魚を釣る釣り」とでも世間から思われて、バカにされてはいないでしょうか。

 

この国でフライフィッシングの人気が無くなってしまったのは、このようにどんどんとセコく小さな方向にばかりメーカーなどが力を入れてきたことが原因の一つだと、私は思います。

湖などで、バカみたいに遠くに投げることばかかり考えて釣りをするのも問題だと思いますが、渓流であまりに近距離でペシペシしてばかりいるセコい釣りは、沢山の人からフライフィッシングに対する興味を奪うには充分過ぎると思います。