ここに「湖沼のルアーフィッシング」という1970年代後半に出版された古い本があるのですが、昨今とても人気のある中禅寺湖のレイクトラウトの釣り方がすでに解説されています。
釣り方としては、スプーンを底まで沈めてリトリーブとフォールを繰り返すとのことです。
近頃はスライドスプーンだなんだと、ちょっと変わった釣り方をしているようなことになっていますが、基本的には現在行われている釣り方とあまり差はなく、古くからある釣りなのだなと思わされます。
ただ、現在とは違うこととしては、レイクトラウトは滅多に釣れるものではなく、生息域も限定的だと書かれていることがあります。
地図入りで生息域が載っているくらい、かなり限られた数しか釣れないものだったようです。
基本的には、ブラウントラウトを狙っていて、ごく稀に釣れるといった釣りが行われていたようです。
現在ではレイクトラウトは、中禅寺湖のどこでも釣れる可能性があるくらい、ありふれた釣りものとなっています。
この変化の原因としてはは、二つの理由が考えられます。
まず、レイクトラウトそのものが増えたため、どこにでも居るようになったという可能性があります。
どういった変化が湖の中で起きているのか私は知りませんが、明らかに昔よりもレイクトラウトの数は増えているはずです。
他のトラウトとは違い放流はされていないようですし、かなり繁殖力の強い魚なのでしょうか。
それから、釣り方は大して変わっていないとしても、その釣りに使われるラインなどの道具が変わり、誰にでも釣りやすくなったという点も考えられます。
ルアーフィッシングで細くてよく飛ぶPEラインを使えば、1970年代とは比べものにならないくらい広範囲を釣ることができます。
さらに感度も抜群ですから、遠く深い場所からのアタリも逃さず釣りまくることができます。
フライフィッシングでも、ロッドやラインや投方の進化は目覚ましく、今ではあらゆる場所から遠くへキャストでき、深さも自在に探りやすくなっています。
もしも、これらの技術が1970年代後半にあれば、意外とレイクトラウトはもっと釣られていたのかもしれません。
このように、昔よりもレイクトラウトが釣れるようになったのは、生息数が増えただけでなく、釣りの技術革新の影響も大きいと考えられます。
釣りにおいて、どんな時でも最新の技術や釣方が正しく有効的だとは思いませんが、この釣りばかりは確実に現代の釣り方をした方が釣果が上がるのは間違いなさそうです。
滅多にPEラインを使わない私でさえ、この釣りでは迷わずPEラインを使っています。
釣り具メーカーなどが宣伝する新しいものに何でもすぐに飛び付くのはあまり利口ではないことでしょうが、本当に有効なものなら意地にならず受け入れて、自分の釣りを変化させる必要があるのだと、レイクトラウトの釣りは教えてくれている気がします。