イトウという魚は、漢字では魚へんに鬼と書きますが、私は昔からこの漢字に違和感を覚えまくっています。
鬼というと、荒々しく恐ろしいイメージですが、イトウには全くそういったイメージはありません。
身体が大きいものの、なんだか動きは鈍重です。
針掛かりしても気がつくまでにちょっと時間がかかるようで、かなりうっかりさんなようです。
力はそれなりにありますが、スピードも持久力はなく、意外とあっさりと釣られてしまいます。
そして何よりも、こんなちょっと間抜けな表情をしていては、とても鬼だとは思えません。
かなり大きくなっても、このちょっととぼけた表情は変わらないものです。
イトウという魚は、進化の過程から見ると、現存するサケ科の魚の中では、かなり古い種なのだそうです。
自然が豊かな時代から生き残ってきた、おおらかでのんびりした魚なのではないかと、私は思ってしまいます。
同じサケ科の魚でも、サクラマスなんかの方が、ずっと悪そうな顔をしている気がします。
誰が一体どういったつもりで、イトウを魚に鬼という漢字を決めたのでしょうか。
とにかく大きくて迫力があるからと、こういった性格は見ずに決めてしまったのでしょうか。
まあ、鬼にも色々な鬼がいて、恐ろしい鬼ばかりでもないようですしね。
童話の「泣いた赤鬼」の赤鬼と青鬼なんて、悲しくなってくるくらい優しい鬼達ですし。
イトウは鬼でも、ああいったタイプの鬼なのかもしれませんね。