現代の日本で人気のあるオールドインスプールスピニングリールとして、スウェーデンのアブ社のカーディナルとフランスのミッチェル社のミッチェルがあります。
これらには、どのような違いがあるのか、今回は簡単に比べてみましょう。
比べるとは言っても、私は機械的なことには詳しくなく下手なことは言えないので、あくまで魚を釣る実用的な面から比べてみたいと思います。
ギアが滑らかなのはどちらか?
リールというと、巻き心地の滑らかさをまず気にする人も多いかもしれません。
この点では、ウォームギアのカーディナルの勝ちだと思います。
ミッチェルには、時代や機種により様々なギアがありますが、一番良いとされる70年代のスパイラルベベルギアの408などでも、ちょっとゴロゴロし、カーディナルにはかないません。
8枚ギアのミッチェル300や410(400)などに至っては、現代のリールしか使ったことのない人には、故障しているジャンク品だと思われるレベルかもしれません。
ただ、このようなギアの滑らかさは、実際に魚を釣る際にはあまり差は出るものではなく、気分の問題ではないかと、私は思います。
ラインが綺麗に巻けるのはどちらか?
ラインがスプールに綺麗に巻けるか気にする人も多いかもしれません。
この点では、機種にもよりますがミッチェルの方が優れているかもしれません。
カーディナルは狭いスプールに、早いストロークでガチャガチャと巻かれるので、あまり綺麗にラインが巻けません。
一方で、ミッチェルは300や400では、なんと完全平行巻きを実現しています。
また408といった小型のモデルでも、時代によってはプラナマティックという謎の機巧が組み込まれ、飛距離が伸びると噂のスプール中央が盛り上がる山形にラインが巻けたりもします。
ただ、このラインの巻け方も、それで実際に釣りをする場面で差が出るかといったら、そんなことはないと思います。
問題になるとすれば、復刻版のカーディナル33のライントラブルを招く極端な後ろ巻きくらいで、後はやはり気分の問題と言っても良いはずです。
ベール返りがスムーズなのはどちらか?
インスプールリールは、必ずハンドルを回してベールを返さなくてはいけません。
この時にスムーズに返るかで、ちょっと使い心地が変わってきます。
この点では、ミッチェルの方が静かで軽くベールが返ると思います。
カーディナルの方が、ガッチャンと衝撃が大きいです。
この衝撃があまりにも大きいと、ベールアームが壊れることがあるそうですが(ペン スピンフィッシャーのインスプールモデルなど)、カーディナルはそこまで衝撃が大きいわけではありません。
ですから、これも好みの問題なのかもしれませんね。
ベールスプリングが長持ちなのはどちらか?
インスプールリールのベールスプリングは、いつかは必ず壊れてしまうものですから、その耐久性について気になる人もいるかもしれません。
この点については、同点だと私は思います。
数値上ではカーディナルの方が長持ちし、耐久性は高いはずです。
しかし、実際に使用してみると、どちらも80年代以前の古いモデルなら、そう簡単には折れないだけの耐久性があるようです。
私は、予備のスプリングは準備しているものの、未だにカーディナルやミッチェルのスプリングを交換したことはありません。
ただし、ミッチェルの408・308の80年代後半から90年代のもの、カーディナル33の92年復刻版などは、巻き数の少ないスプリングが使われていて、すぐに折れてしまうことがあるそうです。
この点については、リールを買う時には注意が必要でしょう。
カーディナルにはベールスプリングが二ヶ所使われていて、片方が折れても、なんとか釣りを続けられそうですが、ミッチェルはスプリングが折れたら交換しない限り釣りはできません。
80年代後半以降のミッチェルを使う場合には、特に注意が必要かもしれません。
以上のように簡単にカーディナルとミッチェルを比べてみましたが、まあどちらも普通のリールです。
どちらかが特別優れているなんてこともなく、どちらも普通に使えて、どちらも普通に魚が釣れる、普通のリールです。
ギアが滑らかな分だけカーディナルの方が、ちょっと使い心地が良いかなぁとは個人的には思いますが、それは釣価には影響のないことでしょう。
別に扱いも難しいものでもありませんし、もしもどちらか使ってみようか迷っているような方がいましたら、まずは見た目が気に入った方を選んでみて、気軽に使ってみれば良いのかもしれません。