「旧式である」、「使いこなすのに、ちょっとコツが必要」などの点から、インスプールのスピニングリールは、自動車のマニュアル車に例えられることがあります。
確かに共通点は多い。
この二つのものは、確かに少し似ています。
どちらも、かつては主流の形式でしたが、現在では利用される機会が少ないものです。
マニュアル車は、仕事や趣味で乗られる機会が、まだまだあるようですが、インスプールリールに関しては、もはや復刻版以外に新品が製造されることは、ヴァンスタールかペンくらいしかないはずで、その存在は風前の灯です。
どちらも使用するには、それなりの技術が必要な点も似ています。
しかし、昔の人にとっては、車はギアチェンジするのは当たり前で、リールのベールは手で返さないのが当たり前でした。
ですから、正確には、オートマ車やCVT車やアウトスプールリールといった、現在主流のものに比べると、技術やコツが必要と言えるのではないでしょうか。
二者には大きな違いがある。
マニュアル車もインスプールリールのどちらも、衰退していった原因は、オートマ車やアウトスプールリールに比べて、不便だったからでしょうか。
この点に関しては、少し違うのではないかと私は思っています。
マニュアル車がオートマ車に比べて不便であるのは、明確な事実でしょう。
マニュアル車の利点もありますが、一般市民が車を走らせる場面では、オートマ車の方がずっと便利です。
私も、何かの作業などで仕方なくマニュアル車を使うことは今でもありますが、自分の車をマニュアル車にしたい思ったことは、一度もありません。
それでは、同じように、インスプールリールもアウトスプールリールより不便であるかと考えてみると、必ずしもそうではないのではないかと思えてきます。
一度使ってみていただければ分かりますが、インスプールリールを使う動作というものは、一切の無駄がなく完璧なものです。
ラインを指にかける→ベールを上げる→キャスト→人指し指でフェザリング→ハンドルを回してベールを返す。
キャストを繰り返すルアーフィッシングなどにおいては、完全に利にかなった動きであり、不便さは一切ありません。
キャストしてからも、度々ラインを送りこむなどの動作をする釣りや、ソルトウォーターの大型のリールではベールを手で返せたほうが便利でしょうが、通常のキャスト&リトリーブの釣りでは、インスプールリールはとても便利です。
便利なものが衰退した理由。
では、なぜインスプールリールは、衰退してしまったのかというと、これは「日本の釣り人がバカだったから」だと思います。
中古のインスプールリールには、無理矢理ベールを手で返そうとして壊されたものが、よくあるそうです。
これは、ものの仕組みや使い方を理解できない、バカな釣り人が多かった証拠ではないでしょうか?
このバカな人達に合わせて、日本のメーカーは扱いが易しく壊しにくいアウトスプールばかりにしてしまった。
そして、その日本のリールが生産力と性能で世界を圧巻していった結果、インスプールリールは衰退していった。
という説は、あながち外れてはいないのではないでしょうか?
ですから、現在、ルアーフィッシングをする時に、ベールを手で返す方々は、知らず知らずのうちに、過去のバカな釣り人達からバカの伝統を受け継いでしまったということになるかもしれません。
「いいや、この方が俺は便利なんだ」とおっしゃる方もいらっしゃるでしょうが、それはその不便なやり方に馴れてしまっているからでしょう。
ロッドを変な持ち方をしたり、利き手でハンドルを回したりするのと同じように、悪しき習慣でしかないと思います。
信じられないことに、テレビや雑誌に出ているような人でも、このような変な道具の使い方をしている人を、たまに見かけます。
私は「やっぱり釣り人は、バカなんだなぁ」と、しみじみ思いながら、眺めていますが、実際のところどうなんでしょうか。
彼らには、ちょっとでも物事を論理的に考える頭はあるのでしょうか。
そして、そういった人の謳い文句を信じて、釣り具を買い漁る人々にも、ちょっとでも物事を論理的に考える頭はあるのでしょうか。
昨今の日本の釣りの世界の、下品で低脳な雰囲気を見る限りでは、このような疑問は、日々大きくなっていくばかりです。
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