アブのオールドリールに、EFという当時の輸入会社であるエビスフィッシングのシールが貼られていることがアピールされて、オークションなどで売られていることがあります。
それがアピールされているということは、それを気にする人がそれなりにいる証拠であり、エビスのシールが付いている方が高値で取引されていることもあるようです。
正規輸入品だと、何か良いことがあるのか?
エビスフィッシングのシールが貼られていることが意味しているのは、当時の正規輸入品だということです。
正規輸入であったり保証カードが付いていたとしても、エビスフィッシングはもう存在しませんし、サービスを受け付けてくれるであろうピュアフィッシングジャパンにも、古いリールのパーツはないはずですし、修理やサービスを受ける点で有利になることはないでしょう。
ですから、エビスフィッシングのシールが張られているからといって、実質的に何かよいことがあるのかと言えば、何もないのです。
それでも、エビスフィッシングのシールが張られているリールを欲しがる人が存在するのは、リールを買う人の感情的な面が原因かもしれません。
現在オールドリールを集めている人の中には、当時アブのリールが欲しくても高価過ぎてかえなかった、というような世代の人も多いのかもしれません。
また、買えたとしてもエビスフィッシングの取り扱いでない、平行輸入品だったという人もいるのかもしれません。
そういった人達からすれば、エビスフィッシングのシールが貼られたリールというものは、遠い昔の憧れの象徴であり、EFと貼られたリールを手に入れることが、過去に叶わなかった夢を現在になって叶えることになるのでしょう。
ですから、そういった人達は、エビスのシールの貼られていないリールには、あまり価値を見いだせないのかもしれません。
私などは、エビスフィッシングの時代には全く思い入れはないですし、正規輸入品の方がつまらない気がしてしまいます。
なぜなら、外国からやって来たオールドリールというものは、今まで他の国で知らない誰かが、私の知らないような外国の魚を釣っていた可能性があり、それが巡りめぐって自分の手元にやって来て、さらに私がそのリールが体験したことのない魚を釣っていくと思うと、とてもロマンがあると感じられるからです。
ですから、私は、オールドリールを買うなら、できればエビスフィッシングのシールが貼られていない物の方が良いくらいです。
このように、同じような古くさいリールを欲しがる人の中にも、全く違う考え方や趣味の人が存在することは、釣り人というものが、どうでもよいようなことにこだわるなんとも面倒くさい人間達だいうことを、よく表していると思います。