魚には、側線と呼ばれる部位があり、そこで水中の波動を感じていると言われています。
本当かどうか、私は魚にはあまり詳しくなので、よく分かりませんが、このことは世間一般に広く知られていることとなっています。
魚が、側線で波動を感じているにしても、いないにしても、魚が水中で水の動きを敏感に感じとっていることは確かでしょう。
水中でルアーを泳がせると、魚からルアーが見えないほどかなり濁りのキツいような場所でも、魚がルアーに食いついてくるのは、波動に敏感な証拠だと思います。
ですから、ルアーの生み出す波動というものは、かなり魚に有効だと言えそうです。
しかし、どんな時でもこの波動が魚が有効とは、どうも言えないようです。
ルアーの生み出す波動というものは、小魚などの本物の餌の生み出す波動よりも、ずっと大きいことが多いです。
魚にやる気がある時は、派手な波動は抜群に効くようですが、魚が警戒していたり、スレている場合には、逆効果である可能性があります。
例えば、魚のスレていない海外の僻地の川で、ド派手な波動を生み出すスピナーというルアーを投げてみると、面白いように魚が釣れます。
しかし、釣り人の多い日本の川でスピナーを投げてみると、さっぱりだったりします。
単純な魚の生息数の差もあるでしょうが、ルアーの派手な波動は嫌われることがあると考えられます。
それから、水がクリアで水深のない川で日中に釣りをしてみると、ルアーには全く反応しない魚が、ストリーマー系のフライでは釣れることが良くあります。
これは、警戒心の強い魚には、不自然に大きな波動のでるルアーは嫌われ、よりナチュラルにスーッと動くフライの方が反応がよいということではないでしょうか。
このようなことは、常識となってきているようで、近頃はあまり泳がない、アクションしないルアーも、よく売られています。
極端に言ってしまえば、ただの棒のような物を引っ張ってきた方が、釣れることがあるということなのでしょう。
ブリブリ泳ぐアピール力のあるルアーで魚が釣れないということは、それだけ魚が少なく釣り人が多く、魚がスレていて、釣り場が荒廃しているということではないでしょうか。
あまり泳がないルアーが売れるようになるということは、この国の釣り環境の悪さの表れなのかもしれません。