ここに富士工業の同じような型のリールシートが使用された2本のロッドがあります。
同じようなリールシートのパーツを使っているのに、この2本のロッドのリールシートの使い心地はは、全く違うものとなっています。
アップロックとダウンロック。
この2本のロッドのリールシートが大きく異なる点は、リールフットのハマるリング状のパーツが、固定されているのが、上側(ロッドティップ側)にあるか下側(ロッドエンド側)にあるかの違いです。
前者をアップロック、後者をダウンロックと呼び、どちらの仕様のロッドも混在しています。
リールシートは、アップロックとダウンロック、どちらが良いのか。
スピニングロッドを使う時に、アップロックとダウンロックのどちらが良いのか、少し考えてみたいと思います。
まず、正しくスピニングロッドを握れば、キャストする時は、利き手の親指がロッドのセンターに乗る形になります。
この時に、アップロックならば、親指はリング部分やグリップのコルクやEVA部分に乗ることになります。
滑らかな形をしている部分なので、とても握りやすいです。
ところが、この時、ダウンロックだと、親指がネジになっている部分に乗ることになってしまいます。
ボコボコした部分に親指を乗せてキャストするなんて、安定性にかけますし、不便なことこの上ありません。
それに、これでは、いくら良質なコルクなど高級な素材でグリップを作っても、親指はグリップに乗る機会がないのですから、あまり意味がなくなってしまいます。
このように考えると、リールシートは、どう考えてもアップロックの方が良いはずです。
なぜダウンロックなのか?
ところが、昔からダウンロックのロッドというものは産み出され続けているようです。
私の所有しているものでは、フェンウィックの古いグラスロッドなどもダウンロックになっています。
これだけ長い期間、ダウンロックのロッドが存在するわけですから、何かしら利点なり理由なりがあって良いはずです。
しかし、考えてみても、中々ダウンロックの利点が見つかりません。
少しでもリールからティップまでの距離を長くとりたかったからとか、リールの位置を下げてバランスをとる必要があったとか、その程度のことは思い付くのですが、どちらも決定的なダウンロックの理由とは言えない気がします。
ですから、私はダウンロックのロッドを使う時は、ネジに乗った自分の親指を眺めながら、「どうしてこんな不便な物を…」と悩みながら釣りをしているのです。
いつか、これだと言う答えが見つかる日が来るのでしょうか。