オールドリールというものは、フットの裏に番号が刻印されていて、その番号から製造年月などが分かるものです。
さて、ここにアブのカーディナルCシリーズのリールがあります。
このシリーズのリールは80年代~90年代に販売されていたものなので、オールドリールと呼んで良いのか分かりませんが、それなりに古く、またクラシックなデザインなので、一部の古めのリールが好きな釣り人達には人気があります。
そういった釣り人達は、「何年製」ということなどにこだわる人も多いので、このリールもフットの裏のナンバーを見てみることでしょう。
そうしてみると、「84」という数字が刻印されていることかと思われます。
「ということは、84年製なのか」と思いたくなってしまいますが、これはどうも違うようです。
いつ製造されたものでも、この84と刻印されていて、これはパーツ表に書かれている数字と同じで、ただのモデルナンバーか設計された年かのようです。
「84-1」と「84-2」というものがあるようですが、これはマイナーチェンジが行われ、少し違いがあるだけのようで、1や2という数字は製造月を表しているわけではないようです。
このことに気づいていないオールドタックルのお店や、オークション出品者などがいるようで、よく「84年製」と表記されているのを見かけます。
製造年にこだわるのなら、そういった表記を信じてはいけないということになります。
リールの製造年月なんて、どうでも良い。
とは言え、このリールの製造年が84年でなくても、がっかりするなんて人はいないでしょう。
自分がこのリールが気に入っていて、よく折れるというスプリングを交換してでも使っていきたいと思えるのなら、何年製かなんて関係ないと思います。
こういったことは、もっと古いオールドリールにも言えるのではないでしょうか。
リールは古いほど偉いわけでもなく、レアな仕様だから良いものなわけでもなく、自分が気に入って使いたいと思えるものなら、何年製でも良いはずです。
修理する時にパーツが分からないなどは困りますが、そういった時以外に、製造年や細かな仕様の違いにこだわる必要があるのでしょうか。
リールは魚を釣る道具なのですから、骨董品や収集物ではないはずです。
自分で選び、魚を沢山釣って始めてリールを手に入れた意味が出てくるのではないでしょうか。
オールドタックルなどの、あまりにマニアックな世界に入り込むと、時々このようなリールというものの本質を忘れてしまいそうになります。
リールという物を手に入れるのならば、コレクターとしてではなくて、釣り人としてであるべきだということを、肝に命じ続けていきたいものです。