スウェーデンのアブ社には、おそらく1970年代くらいまで売られていたデルタ5 という個性的なフライリールがあります。
私は、このリールのルックスに一目惚れして買ってしまったのですが、使ってみるとなかなか微妙なものなのでした。
まず、このリールは、デカくて重いのです。
「フレームを三角形にすると柱が減ってなんとかかんとか…」と古いアブのカタログには書いてあった気がしますが、そんな利点を感じることもなく、ただ無駄にデカくなっているだけの気がします。
リールの大きさと重さ的には、現代だったらスイッチロッドやツーハンドロッドに使うようなサイズですが、スプールは小さくてWFなら5番か6番くらいのサイズなのです。
よって、このリールに適したラインを巻いて使うと、ロッドに対していかんせんリールがデカ過ぎるという感じになってしまいます。
それから、一際目を引く時計盤のようなドラグも、目盛りを変えたところで、そこまでドラグ力は変化しません。
ドラグのメインの調整は、スプールを外した中にあるネジを回しておこなうようになっていて、外のレバーでは微調整できる程度です。
それに、このリールはスプールが出っ張っていて、指で触れて魚の引きに応じて逆転を調整しやすくなっていますから、レバーをいじる意味はほとんどない気がします。
このレバーの部分が省略されたDELTA3というモデルもありますが、魚を釣る上ではそちらでも何の遜色もなく使えると思います。
散々文句ばっかり言ってきましたが、それでも私はこのリールが嫌いではありません。
これらの不満点を打ち消す程度には、デザインが個性的で、「この古いおしゃれなリールで魚を釣りたい」と思わせてくれるからです。
日本ではなぜかバスフィッシングに使う人が多いようですが、ジョアン・ウルフが大きなブルックトラウトを釣っている映像が残っているように、元々はバス釣りに特化したものなわけではないでしょう。
私は、細いランニングラインを巻いて、スイッチロッドやツーハンドロッドと合わせて使っていたりしますが、ラインに巻きぐせがつきまくって使い心地は決して良くはありません。
それでも、このリールで良い魚が釣れて、隣に並べて写真に収めると、「良い雰囲気の写真が撮れた」と満足できますから、お気に入りの一軍リールとはいかないものの、たまには使うことにしています。