昨年あたりでしたか、激安のグラス製のダブルハンド(ツーハンド)ロッドがよく出回っていました。
Angler's roostというアメリカのメーカー製で、定価は200ドルほどのようですが、現地では値引きされて、もっと安く売られていたようです。
こういった物を輸入した人が日本でも販売していたようで、8,000円程度という1万円を余裕で切る価格で売られていました。
新品のツーハンドロッドが8,000円というのは衝撃的な安さですし、それもマニアックなグラス製となれば、ちょっと怪しい釣り具が好きなような人達には、たまらない物だったのではないでしょうか。
私も怪しい安物釣り具は大好物な人間なので、ちょっと一本入手してみることにしました。
さて、この激安グラスロッドですが、まあ仕上がりの方は価格相応といった感じでしたね。
「不器用な人が一生懸命作ったんだろうな」といった雑さが感じられますが、ガイドがポロポロ取れてくるとか、使用上の問題があるほどではありません。
ジョイント部分がグラスのパイプという仕様だったりして、ちょっとびっくりしてしまいましたが、分厚いグラスは滅茶苦茶丈夫なはずですから、強度的には問題ないでしょう。
一番ヤバそうなのは、ストリッピングガイドに偽メノウといった見た目の謎の樹脂製リングが使われていたことです。
すぐ削れてきてしまいそうな雰囲気ですから、交換してしまおうかと思いましたが、めんどくさかったのでそのまま使ってみたところ、数回の使用で溝ができてしまうなんてことはありませんでした。
まだまだ信用はできませんが、使えないことはなさそうです。
使用感の方ですが、グラス独特のスローなアクションでとてもキャストするのが楽しいです。
しっかりとロッドを曲げて、ゆったりとキャストできるので、心に余裕を持って釣りができます。
ティップがグニャグニャしていますから、パワー不足なのではないかと不安にもなりますが、ぶっといバットは思いの外強力で、ちゃんと番手相応の力はあるようです。
そんなわけで、このロッドは激安とは言えちゃんと釣りはできますし、むしろカーボンロッドよりも釣りが楽しいくらいでした。
しかも、グラス製ですからカーボンロッドと比べたら、かなり頑丈だと思います。
余程のヘマをしない限りは、まず折れるようなことはないはずです。
ガイドを交換する必要は出てくるかもしれませんが、一生使えるくらい丈夫だと思います。
それだけ丈夫そうなのに、スペアのティップまで付いていたりして、もう子や孫の代まで使えそうです。
細かい仕上がりの部分には雑な面がありますし、決して高級感があるような物ではありませんが、肩肘張らずにゆったりと釣りを楽しむには、なかなか良い品なのではないでしょうか。
この国には、「何万円もするロッドを使って、そんなにムキになって釣るほどでもないでしょう」というような状態の釣り場が沢山あります。
「まあ、なんでも釣れれば御の字なんじゃないの」というような釣り場には、こんな安物ロッドがお似合いなのではないでしょうか。