北海道で釣りをしていると、釣り場の近くに牧草地があることが少なくありません。
釣りをしない観光客の人達には、のどかな北海道らしい景色に見えるらしく、牧場のある場所は喜ばれたりするものです。
しかし、釣り人達にとっては、牧草地というものは、あまり嬉しくない存在であり、「クソッ」と内心思っている人も少なくありません。
牧場は釣りの天敵。
観光客の人達は、牧草地が拡がる景色を見て、「やっぱり北海道は自然がいっぱい」なんて言い出したりするものですが、それは大きな間違いです。
牧草地というものは、人々が生活のために原野を切り開いた場所であり、自然が破壊され人工的に作られたものです。
北海道全体で一体どれだけの面積の自然の原野が、牧場を作るために失われたのでしょうか。
こう考えてみると、面積で言えば、北海道は日本でもトップレベルに自然破壊が進んだ土地なのかもしれません。
牧場が作られると自然が破壊されるのですから、自然の中で行う釣りにも、かなり悪影響を及ぼすことになります。
牧場ができると、森が失われ、糞尿が川に流れ込み、川に良くないことばかりです。
有名な話では、セイ○ーマートの牛乳を作るための牧場の開発が進んだため、周囲の川の環境が急激に悪化して、イトウの産卵床の数が激減したというようなことがあります。
他にも、牧場から良からぬものが川に流されたたため、その川では何年も魚が釣れなくなった、なんて話もよく聞きます。
釣りは所詮遊び。
そんなわけで、牧場という存在は、釣りの敵となりうるものなのです。
ですから、釣り人は牧草地を見かける度に、なんだか嫌な気持ちになるのかもしれません。
そうは言っても、大部分の釣り人にとっては、釣りはタダの遊びでしょう。
それに対し、牧場をやっている人々は、生活をかけて必死に運営しているわけです。
この本気度の違いを考えれば、釣りで魚が釣れなくなるのと、牧草地が作られるのと、どちらが優先されるべきなのかは、自ずと分かってくるはずです。
ですから、牧場の存在によって釣りに影響が出たとしても、あまり大きく抗議する権利は、釣り人にはないのかもしれません。
釣り人は、静かに自然が滅びていくのを感じながら、せいぜいこの国の自然の儚さを嘆きながら、減っていく魚を釣りを続けるしかないのでしょう。