日本最大級の釣り具メーカーであるシマノが「おとな釣り倶楽部」という企画をやっていますが、以前から私は「これは、どうなんだろうか?」と思っています。
お金と暇のある中高年をターゲットに。
おとな釣り倶楽部は、以前釣りをしていたけれど今はしていない人、釣りをしたことのない人を対象に、釣りを気軽に始められるように、ウェブページや釣り会やテレビ番組を通して、釣りの普及を行う企画のようです。
ここでターゲットにされているのは、ずばり中高年であり、今の日本の社会では一番お金を持っていて、一番暇があり、足腰が動く人の中では一番人口の多い層です。
この層にもっと釣りをしてもらえれば、いくらでも高い道具をジャンジャン買ってもらえて大成功!という気がしてきます。
しかし、よく考えてみましょう。
そういった年齢の方々は、そう遠くないうちに必ず全員お亡くなりになるのではないでしょうか。
そう考えても、この企画の効果があるのは、非常に一時的であり、長期的に見た時は「どうなんだろうか?」と思わざるをえません。
もしかしたら、「老人に釣りを広めれば、孫に教えたり道具を買い与えたりするはずだ」というところまで考えられているのかもしれませんし、「とりあえず今儲かればいいじゃん」という考えなのかもしれません。
ダイワは対称的なアプローチだが。
シマノと並ぶ日本最大級の釣り具メーカーであるダイワ(グローブライド)は、これとは対称的な活動を行っています。
DYFC(ダイワヤングフィッシングクラブ)というもので、子供達が気軽に釣りを始められるように、活動しているものです。
これは実はかなり歴史が古いものらしく、釣りキチ三平が流行っていた時代にも行われていたようです。
将来のある子供達に釣りを好きになってもらえば、かなり長いこと釣り具を買い続けてもらえます。
長期的に考えれば、老人に釣りをさせるよりも、ずっと良い気もしてきます。
しかし、ここにも問題はあって、この国ではどんどん少子化が進んでいて、将来のある子供達の数が減り続けているのです。
そう考えると、子供達に釣りを広めても大きな利益は望めないのではないでしょうか。
そんなことは、分かっている。
色々と考えてきましたが、おそらくシマノもダイワもちゃんとした会社なのですから、この程度の欠点があることくらい最初から分かっているのでしょう。
そして、それでもやらなくてはならないくらいに、日本国内の釣り産業というものは「手詰まり」になってきているのではないでしょうか。
高齢社会、少子化、人口減少、釣り業界だけではないでしょうが、「物を大量に売って利益を得る」という仕組み自体が破綻する日も、そう遠くないのかもしれません。