「ご趣味は?」と聞かれて、「フライフィッシングです!」という人がたまに居ますが、なんとも格好悪いし、現代的な言葉で言えば「痛い人」だなと思わずにはいられません。
今回は、そんな痛い人々の生態に迫ってみましょう。
「そんなこと、知らんがな」
「ご趣味は?」と聞かれた時に、「趣味はフライフィッシングです」と言う人と「趣味は釣りです」と言う人の違いは何なのでしょうか?
わざわざフライフィッシングと言う人々からは、自分は「他の釣りとは違う、フライフィッシングという特別なものをしています」という強い自己主張のようなものが感じられます。
しかし、それを聞かされた釣りをしない人々にとっては、釣りはただの釣りという認識であり、その中のジャンルの違いなんてことに興味はなく、「趣味はフライフィッシングです」と言われても、「そんな細かいこと知らんがな。ただの釣りでしょ」と内心思いながら、しらけていることがほとんどです。
こだわりや信念を持って釣りをするのは自由ですし、そういったものを持って釣りをすることは、素晴らしいことです。
しかし、そのこだわりや信念を他人にわざわざアピールしたり押し付けたりするのは、みっともないと思います。
釣りに詳しくない人には、「趣味は釣りです」と分かりやすく簡潔に答えるべきではないでしょうか。
では、同じ釣りをする人に向かって「趣味はフライフィッシングです」という場合はどうでしょうか。
この場合には、さらに面倒なことになってきます。
同じ釣り人に、わざわざこういった事を言う人の中には、極端な話「あなた達のする釣りとは違う、フライフィッシングという特別なことをしている」という考えを持っている人が少なからずいます。
どこか選民意識なようなものを持っていたり、他の釣りに対して差別的であったり、見下しているような人さえいます。
そのような思想を持って釣りをするのは自由でしょうが、やはりここでも、それを他の釣り人にアピールしたり、考えを押し付けたりするべきではないでしょう。
わざわざ普段から「趣味はフライフィッシングです」と威張り散らすよりも、「趣味は釣りです」と言っていて、釣りをする場面でフライタックルをさりげなく出してきた方が、ずっと上品でかっこ良いのではないでしょうか。
「フライしかやらないから分からない、知らない」
「趣味はフライフィッシングです」という言葉と似た性質を持つ言葉に、「フライしかやらないから分からない、フライしかやらないから知らない」といった言葉があります。
釣りをする人なら、こういうことを言う人に一度は出会い、「面倒なおっさんだ」と不快に思ったことがあるのではないでしょうか。
この言葉も「自分はフライフィッシングという凄いものにしか興味がない。あなたとはちょっと違うんだ」というような印象を強く相手に与えるもので、かなりやっかいなものです。
そして、このような言葉を言ってしまう人は、非常に視野が狭く凝り固まっていると言っても良いのではないでしょうか。
自分がやらない分野の釣りにも、釣り人なら興味を持つべきでしょうし、ある程度の知識は持っておくべきでしょう。
同じ釣りなのですから、どこかに自分の釣りのヒントになることが隠れているかもしれないからです。
私は海でエサ釣りをしたことは一度もありませんが、そういった釣りをする人に出会ったら、「どんな針やラインや仕掛けを使うのか。棚はどうやって決めるのか。アタリはどうとるのか。どうあわせるのか、あわせないのか」など、好きなだけ語ってもらい話を聞くことにしています。
自分のしないジャンルの釣りの話というのは、色々とためになり、とても有用なものです。
「釣れなくても楽しい」
「フライしかやらないから知らない、分からない」と言うような人は、とても視野が狭く自分で考える頭を持たず、そういうことを言わないフライフィッシングをする人よりも、釣りがあまり上達しないかもしれません。
それでも「いやいや、フライフィッシングは学術的で繊細なものなんだ、一番凄いんだ」と言って、相変わらず「フライしかやらないから知らない」と他の釣りをバカにし続けるかもしれません。
その結果、そういった人達が言い始める最終的な言葉が「釣れなくても楽しい」です。
あまりに魚が釣れないので、もう魚を釣ることが目的ではなくなり、まさに「趣味はフライフィッシングをすること」になってしまった状態です。
フライフィッシングしかしない人でも、魚が釣れなければ素直に悔しがり、物事を柔軟に考えて工夫や研究を続ける人は、沢山魚を釣っています。
そういった人達からすれば、「釣れなくても楽しい」という発言は、ただの魚が釣れないことの言い訳のように聞こえ、なんとも情けなく見えるのではないでしょうか。
釣り人たるもの、魚が釣れなかったら、「悔しいな。ちょっと考え直して、また頑張ろう」と素直に言える人間になりたいものです。
このように「趣味はフライフィッシングです」と言ったり「フライしかやらないから知らない」と言うような人々は、世間から見たら非常にやっかいで痛い存在なのです。
他人からどう思われようが関係ないという方なら、それを続ければよいと思いますが、そういった気取った発言が、他人に不快な思いをさせている場合があるという事実だけは知っておくべきでしょう。