マラブーという鳥の羽毛を使った、マラブーリーチやウーリーバガーといったフライがあります。
管理釣り場などの定番パターンで、マラブーがヒラヒラするのが効くのか、水中を漂わせるだけでも魚は釣れますし、引っ張ってくると狂ったように魚が襲いかかってきます。
これを自然の川や湖や海に持っていっても、滅茶苦茶魚が釣れます。
同じ構造のサイズを変えたものを使い、私が釣ったことがある魚だけでも、ヤマメ、アマゴ、イワナ、アメマス、ブルックトラウト、ニジマス、ブラウントラウト、レイクトラウト、オショロコマ、カラフトマス、サケ、サクラマス、ヒメマス、イトウ、バス、ブルーギルと、沢山の種類の魚が釣れています。
これ以外にもいくらでも釣れる魚はいるはずですし、釣りが上手な人が本気を出せば、世界中の魚が釣れて、余裕で100魚種くらいは狙えるのではないでしょうか。
「それじゃあ、このフライだけあれば良いのではないか」と思う人もいるかもしれませんが、実際には釣れにくい状況もあるので、そういうわけにもいかないのです。
そして何より、いつでも同じようなフライを沈めて魚を釣っていたら、あまりに釣りがワンパターンになって、つまらなくなってしまいます。
色々なパターンを巻いたり、工夫するのがフライ釣りの楽しみでもあるわけですから、こればっかりで済ませるわけにもいかないのです。
それでも、実際にこのフライしか持っていなかったとしても、操作方法などを工夫すれば、かなり魚は釣れるはずです。
どんな状況でも釣れるということはないでしょうが、釣果という点で充分に満足できる程度なら魚は釣れてしまうのではないでしょうか。
ですから、私は釣りをする本人がそれで良いのなら、マラブーのフライだけで釣りをしたって問題ないと思います。
ところが、どうもフライの世界には、そういったことを許さないような風潮があります。
何かと難癖をつけたり、わざと難しく考えたりして、シンプルに釣りをすることを許さないような雰囲気があるのです。
これは、おそらく「自分達は難しい釣りをしている」と思い込みたい人が多いからなのでしょうが、端から見ているとみっともなくカッコ悪くて仕方ないです。
フライフィッシングと言ったって、たかが魚釣りです。
たかが釣りで、変にプライドを高く持って、自分のこだわりを他人にまで押しつけるのは、大人げないでしょう。
こういった堅苦しさが、フライフィッシングから人を遠ざけ、新規に始める人を減らしているような気がしてなりません。
「フライフィッシングをしてみたいけど、ややこしそうだし、ベテランがうるさそう」と思っている若者だって一定数存在すると思います。
そんな若い人達には、ごちゃごちゃとごたくを並べる老人の話は、どうか聞き流してもらい、是非自由な発想で釣りを楽しんでもらいたいものです。