珍しく私が友人と一緒にイトウ釣りをしていたら、その人に魚が掛かりました。
「おお!やった!」と思い、背負っていたネットを下ろしていたら、「あー、違うなー」と友人が言うではありませんか。
ラインの動きを見てみると、妙に勢いよく走り回っています。
それを見て、私もこれはイトウではないと、すぐに分かりました。
こんな風に、ビュンビュン勢いよく走る魚の正体は、ほぼサクラマスだからです。
すぐに友人が魚を寄せてきて、魚の姿が見えると、案の定、銀ぴかのサクラマスでした。
そして、「結構引くんだねー」なんて言っていたその時です。
岸際の深みから、突然イトウが姿を現して、サクラマスに接近してきました。
そのまま食いつくのかと思いましたが、そのイトウはせいぜい80センチ程度で、身体の半分ほどあるサクラマスに食いつくのにためらったのか、ウロウロと遠巻きに見ています。
そこで、私はネットからロッドに持ち替えて、イトウの目の前にフライを流し込んでみました。
パクっと吸い込みそうになったのですが、直前で違和感を覚えたのか、ターンして移動してしまいました。
私がそのイトウを追いかけ回してあれこれしている間に、友人はサクラマスを逃がし終わっていて、そのうちにイトウは本格的に逃げてどこかに消えてしまいました。
よく昔から、巨大なイトウがサクラマスをひと呑みにしていたとか、サクラマスが縦の状態でも口に入っていたとか、伝説めいた話を聞きますが、こんな状況に遭遇すると、あながち嘘ではない気がしてきます。
実際に、もう少しだけイトウが大きいか、サクラマスが小さければ、確実に食いついていたくらいのイトウの興味の示し方だったからです。
まあ、それにしても、「針掛かりした魚が暴れる動き」というものは、本当に魚を寄せ付ける効果が強いようですね。
サクラマスではなくても、ルアーに掛かったウグイやアメマスやヤマメにイトウが食いついてきたことがありますし、フライに掛かったチビニジマスに、さらに大きなニジマスが食いついてきたこともありました。
ルアーのアクションは、ああいったちょっと異常な魚の動きに近いためにアピール効果があるのでしょうが、本物と比べたら、かなり劣ると思います。
あれこそまさに、生ルアーといった感じですから、意識的に小魚を掛けてやったら、もっと釣れるのかもしれませんが、それではエサ釣りになってしまいますから、わざわざやることでもないですかね。