イトウなどの大きな魚を大きめのルアーで狙っていても、貪欲なウグイやヤマメがフッキングしてしまうことがあります。
こんな時は、高速で回収して逃がしてさっさと釣りを続けるわけですが、時々思いもよらない展開を見せることがあります。
10グラム程度のスプーンを投げて、川の岸寄りに居るイトウを狙っていた時のことです。
コツンと小さなアタリがあり無意識のうちに合わせてしまうと、ロッドからはもの凄く小さな抵抗感しか伝わってきません。
「ウグイを掛けてしまった」と思い、さっさと寄せて逃がそうとリールのハンドルを高速で巻き始めた瞬間。
いきなりラインが左にビューンと走り、ロッドがゴンゴンと絞り込まれたのです。
突然魚が巨大化したような衝撃に一瞬戸惑いましたが、そのまま少しやり取りするうちに、これは釣れたウグイにイトウが食いついたのだと理解できました。
イトウは一度食いついた獲物は違和感があっても意外と離さないようで、そのまま普通にファイトでき寄せてくることができます。
サイズも80センチ以上ありそうで、悪くはありません。
「なんかセコい気もするけどランディングしてしまおうか」とネットを水中に入れて、ぐいっと寄せてくると、さすがにイトウはくわえていたウグイを離してしまいました。
ところがその直後に、またルアーに付いたままのウグイにバクリと食いついたのです。
「おおっ、やっぱり釣れてしまうのか」と、もう一度寄せてくると、やはりまたもネットイン直前でウグイを離してしまい、その拍子にウグイもフックから外れ、イトウは左にウグイは右に泳ぎ去り、私の手元には手ぶらでスプーンだけが戻ってきました。
まあ、あんまりセコいことを考えてはいけないということなのでしょうね。
この他にも、針掛りしたヤマメにもイトウが食いついてきたことがあるので、フッキングしてしまった小魚の「ビクビクビクビク」という独特なイレギュラーなアクションというものは、フィッシュイーターにとってはかなり魅力的なものなのかもしれません。
散々ルアーを投げていても釣れなかった魚が、突然一発で飛び出してくるのですから、ルアーとは比べ物にならないくらいアピール力があるのでしょう。
ルアー自体のアクションも針掛かりした小魚のようにイレギュラーな動きではあることが多いと思いますが、本物に比べたらまだまだなのかもしれません。
もしも「フッキングしてしまったウグイのアクション」なんてものを再現したルアーが産み出されたら、爆釣するなんてこともあるのかもしれませんね。