1970年代などの古いルアーフィッシングやフライフィッシングの本を見てみると、釣り人がヒップブーツやヒップウェーダーと呼ばれる股下までしかないウェーダーを履いている姿の写真が目立ちます。
今では、なかなかヒップブーツを履いている人はいません。
どうして昔は、ヒップブーツを履いている釣り人が沢山いたのでしょうか。
ヒップブーツ(ヒップウェーダー)とは。
もしかしたら若い釣り人の中には、ヒップブーツを知らない人がいるかもしれませんので、どんなものなのか念のため説明しておきましょう。
ヒップブーツとは、左右が独立していて股下までの長さのウェーダーです。
紐をベルトなどに止めて固定して使用しています。
英語ではHipperと呼ばれているようです。
長さ的には長靴とウエストウェーダーの中間的なものと言えるでしょう。
今でも売ってはいるものですし、膝上程度までしか水に浸からないなら動き易く軽量で、とても便利かもしれません。
昔の人は、深くまでウェーディングしなかった?
それでは、昔はこのヒップウェーダーがよく使われていたということは、釣りの時は膝まで浸かることがなかったからなのでしょうか?
それは、ちょっと違うのではないかと、私は思っています。
昔は、今のように軽量な防水の生地や透湿素材なんてものが、あまり無かったなはずです。
ですから、ウェーダーというものは、現在からは考えられないほど重く蒸れるものだったのではないでしょうか。
その重く蒸れるウェーダーでは、快適に釣りをするのは、股下の長さまでが限界だったのではないでしょうか。
そして結果的に、あまり深く立ち込まずに釣りをしていたのかもしれません。
深くまで立ち込まないと魚は釣れないのか。
このように昔の釣り人は、ウェーダーの材質的な理由でヒップブーツを履いていた可能性が高いです。
そのような物を履いていたたのですから、今の釣り人よりも深くまで立ち込むことはできなかったはずです。
それでは、昔の人は今の釣り人よりも釣れなかったのかと考えてみると、魚影の差などもあるので一概には言えないのかもしれませんが、そんなことは無かったはずです。
考えてみれば、深くまで立ち込まなければ釣れない状況というものはあまりなく、せいぜい膝くらいまでしか水に浸かっていない時の方が魚はよく釣れる気がします。
どんな釣りでも、出来る限り水の中には入らないほうが、魚を警戒させずに釣り易くなるものなのではないでしょうか。
チェストハイウェーダーを履いていると、ついついどんどんと深く入水して行きがちになりますが、そのことは釣果には悪影響を与えていることもあるのかもしれません。
便利な物も使い方次第で、時には逆効果をもたらすこともあるのだと、ヒップブーツを履いた昔の釣り人達の写真は教えてくれている気がしてなりません。