日本は四季のある国であり、釣りの対象魚は一年中同じように釣れ続けるということは、あまりありません。
どんな釣りにも、だいたいベストシーズンというものがあり、効率良く魚を釣りたいのなら、そのタイミングで釣りをすることが、成功への近道のはずです。
ちょっとくらいシーズンを外しても、いけるんじゃないか?
しかし、釣り人は必ずしもベストシーズンにばかり、釣りにいけるわけではありません。
釣り以外の用事との兼ね合いで、その時期に釣りに行けなかったり、ベストシーズンでなくても、どうしてもその魚が釣りたいと思うようなことがあるからです。
このような時は、釣り人はどうしてもポジティブに考えがちです。
「ちょっとくらい時期を外していても、いけるんじゃないか。ちょっとは釣れるんじゃないか」
こんな風に、考えて成功するイメージを頭の中に描いて、ノコノコと釣り場に向かってしまうわけです。
さて、こうしてシーズンをちょっと外して釣りに行った場合、かなりの確率で、その「いけるんじゃないか」という期待は裏切られることになります。
かなり厳しい状況であることも少なくなく、あまりに自分の見通しが甘かったのだと実感させられることになります。
ところが、このような経験を何度もしても、ベストシーズンでなくても釣りに行ってしまうことを、釣り人はなかなか止められません。
ごく一部には「別に魚が釣れなくても良いから」と言う人もいるようですが、これはほとんどの釣り人が夢見がちな妄想家だからでしょう。
釣り場で何度酷い目にあっても、釣り人は打たれ強く、家に帰ればすぐに次の釣りの成功を夢見ることができます。
そして、その夢が現実に打ち砕かれるまでは、いくらでも魚が釣れる妄想を楽しみ、前向きな気持ちでいられるのです。
このようにして考えてみると、釣り人というものは、まるで学習能力の無いバカな人間のように思えてきてしまいます。
しかし、これは釣りというものには、それだけ人間をバカにしてしまうくらいの魅力と中毒性があることの、表れでもあると思います。
何度も期待を裏切られ、なかなか自分の頭の中に描いたような釣果を得られなくても、たった一回でも大成功を修めてしまうと、もう釣りというものを止めることはできません。
たった一度の成功体験で、人間を釣りという泥沼にハマらせてしまうだけの力が、この趣味にはあるのでしょう。
「本当は来月くらいがベストなんだけど、もう釣れるかもしれない」
そんなことを考えて釣りに行ってしまう人は、もう完全に沼にハマって、身動きもとれなくなってしまった状態なのかもしれませんね。