近年、栃木県の思川という場所で、鮭の有効利用調査が行われており、応募制で釣りをすることができます。
私は、「栃木県なんて完全な内陸部で鮭釣りができるなんて、ちょっと面白そうだな」と思い、以前行ってきたことがあるので、その時の衝撃的な様子を今回はご報告しましょう。
11月の初旬の朝、受付場所に集合すると、まずは町長の挨拶があり、それからゼッケンの番号順に川に入っていくという、なんとも非日常的で面白い状態で釣りが開始されました。
川を対岸へ渡る時には、木製の古い和船をお爺さん達が長い棹で操り渡してくれます。
まるで日本むかし話のような光景で、風情があり最高です。
いよいよ釣りを始めてみると、栃木県の川に鮭がいるのかと、ちょっと心配もしたものですが、あちこちに鮭の姿が見られ、それなりに居るようでひと安心です。
しかし、ここからが厳しい釣りとなりました。
もう川に入ってからかなりの時間が経ち、産卵間近の鮭であるためか、川の鮭釣りの定番である川底をスプーンを転がす方法を行っても、全く釣れません。
周囲のフライの人を見ていても、釣れていません。
川の鮭は、フライの方が釣れそうなものですが、まるでダメなようなのです。
ルアーで釣りをしている人々も、川で鮭釣りをしたことがない人が大半なのか、ルアーをキャストしてリトリーブするという、鮭釣りではあまり考えられない方法をとっています。
そのような方法なら、時おり釣れていましたが、当然スレばかりのようでした。
さらに、有効利用調査参加者が釣りをしているすぐ上流では、ぶっとい延べ竿で引っ掻け釣りをして、次々と鮭を捕獲している集団がいました。
漁協の人か何かなのでしょうか。
そのうちに、釣り開始から時間がたつと、鮭達は警戒し逃げ惑い、ルアーを投げて巻いても、スレでも釣れないようになってきたようです。
浅瀬を逃げ惑っている鮭を狙いルアーを投げ、引っ掻けようとしている人も、沢山出てきました。
気づいてみれば、鮭釣りではなく、完全に鮭引っ掻け大会のような状況となってしまったのでした。
やはり、魚はそれなりにいるものの、ここまで内陸部では、鮭を普通に釣ることは難しいのかもしれません。
一人だけ、フライでちゃんと釣っている人を見かけましたが、かなり釣りの上手なヒーローのように輝いて見えました。
このように思川の鮭釣りは、ロケーションや受入れ体制などは面白いのですが、真っ当に鮭釣りをするには、立地的に無理があるのではないかと、私は思いました。
以前に行ったことのある、茨城県の海に近い場所なら、ちゃんと鮭は口を使って釣れていたので、やはり内陸すぎて、鮭が産卵間近なことが問題なのではないでしょうか。
スレでもなんでも鮭を釣りたい人にはおすすめできますが、真面目に釣るとなると、かなり難易度の高い場所であると、私は思いました。