皆さんご存知のように、ブリという魚は出世魚で、大きさによって呼称が変わります。
釣りをする人は、こういったことに詳しく、その判断も厳しい目で行いますから、テレビ番組で「ブリ」と表示された魚を見て、「そんな小さいのはブリじゃない」などと突込みを入れたりもします。
今回は、この「何センチからブリと呼ぶか」問題と釣り人の心情について考えてみましょう。
何センチからブリ?
ブリはスズキ目アジ化の大型肉食回遊魚です。
そのサイズとパワーと食味から、釣り人にはかなり人気のある魚でしょう。
大きさによって呼称の変わる出世魚であり、その呼び方は地方によって様々です。
ここらへんは、ウィキペディアに綺麗に表でまとめられているのでご参照ください。
大きさにより様々な呼び方をされますが、どの地域でもだいたい80センチ以上がブリと呼ばれる基準となっているようです。
しかし、これは一般的な基準であり、地域によっては70センチでもブリと呼ばれたり、流通の世界では80センチ以下でも8キロ(関西では6キロ)あればブリと呼ばれることもあるなど、かなり曖昧なものです。
釣り人はもっと厳しい。
釣りの世界でも、基本的には80センチくらいでブリと呼ぶことになっているようです。
しかし、これを認めない釣り人も沢山居るのです。
「90センチ以上がブリ」だとか「10キロはないと」など、厳しい基準で判断をする人が少なくありません。
このように、釣りの世界では何センチからブリと呼ぶかは、その人の裁量に任されているようなところがあります。
この時、どういう人ほど厳しい基準で判断したがるか考えてみると、釣り人の面白い生態が判ってきます。
例えば、それまで78センチまでのワラサしか釣ったことのない人が、82センチの魚を釣ったら、ここは「80センチ以上がブリ説」を採用して、「ブリを釣った!」と喜びたくなるでしょう。
しかし、いくらでも90センチ以上の魚を釣ったことがある人が、82センチの魚を釣った場合には、「ブリは90センチから説」を採用して、「まだワラサだ」とさっさとリリースするかもしれません。
さて、こうして考えてみると、「釣り人は自分が大きい魚を釣ったことがあり、心に余裕があるほど、何センチからブリと呼ぶかの基準に厳しくなる」という傾向があることが分かってきます。
釣りの欲望というものは底知れないもので、「大きな魚を釣る度に自分の判断基準をアップデートし、さらに大物を求める」というのが釣り人の心情なのではないでしょうか。
より大きな魚を求め向上心を持って釣りをするのは、やりがいがありますし、悪いことではないでしょう。
しかし、たまにこういった人達の中には、他人の釣った魚も自分の基準で判断したがる人がいたりします。
80センチの魚を釣って「ブリだ」と喜ぶ人に、「それはブリじゃない」といちゃもんをつけるような人達です。
釣った魚の価値はその人にしか決められないものであり、その人の喜びに水を差すような行動であり、決して誉められたものではないでしょう。
自分が何センチからブリと呼ぶのは自由だとしても、対外的には「80センチ以上がブリ」と判断し、他人と接するのが良いのではないでしょうか。
釣り人は、自分の釣果だけでなく、他人の釣果にまで厳しくなりがちですので、よくよく気をつけたいものです。