魚釣りをしていて、釣れた魚を見て「これは大きいな」と思うサイズは、本当に人それぞれだと思います。
その人が日頃から釣りをしている環境、狙っている魚種によって、大物の定義は変わってくるはずですから、釣り人の数だけ大物の基準があると言えるのではないでしょうか。
私がよく大物かどうかの基準としているのは、「尾ビレのつけ根を握った時に、指が回らない」ということです。
ある程度大きなサイズの魚を釣り、ネットの中でちょっと動かしたり、抱えて写真を撮ったり、リリースする時などには、尾ビレの付け根を握るのが一番楽です。
この時に、あまり大きくない魚なら、指がぐるっと尾ビレの付け根を一周して、完全に片手で握ることができますが、魚が巨大になってくると、指が回り切らなくなってきます。
ブリみたいな体型の魚だったら、かなり大きくなっても指がぐるっと回るかもしれませんが、私が釣っているサケ科の魚では、大きく太くなってくると、指が回らなくなってきます。
そして、そんな太い尾を見て「握れないなあ」と確かめて、大物を釣ったんだと実感できるわけです。
この判定基準は、他人が釣った魚の写真や動画を見る時にも使うことができます。
釣果の写真や動画というものは、カメラのレンズの画角や遠近感などにより、実際のサイズが分かりにくいものです。
しかし、魚の尾をしっかりと握った状態の指の回り具合を見れば、大きい魚なのかどうかは、ある程度判定することができます。
広角のレンズで遠近感を上手く使った写真や動画では、魚が随分と立派に見えることがありますが、指が楽々と尾の周りを回り切っていると、「本当はあまり大きくないのだ」と分かります。
逆に、魚体よりも釣り人が自分の顔を前に出してしまったような、魚が小さく見えてしまう構図の写真や動画でも、尾を握った指が全然回りきっていないと、「これは本当はデカイぞ」と推測できることもあります。
人の手の大きさには個人差がありますから、一概には言えないのかもしれませんが、この基準は錯覚などに左右されないため、魚の大きさを推定するのに、ある程度は有効なものだと思います。
こういったことを意識して雑誌の写真や釣り具メーカーの動画などを見てみると、インチキ具合を見破ることができることもあるので面白いかもしれません。
ただ、こういった推測をされないために、近頃はできる限り指を写さないで写真を撮るようなテクニックを使う人も増えてきているようですから、本当に写真や動画の魚のサイズが分かりにくい時代になってきてしまった感はありますね。