釣りにゃんだろう

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価値ある一匹という便利な言葉。

釣りの本やテレビ番組で、よく「価値ある一匹」という言葉を目にしたり耳にしたりしますが、その度に私は本当に便利な言葉だよなぁと思い、笑いそうになってしまいます。

 

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この価値ある一匹という言葉を、どういう時に使うのかと言うと、基本的には一匹程度しか魚が釣れなかった時でしょう。
そして、その一匹を大袈裟に持ち上げるために、「悪条件の中でも釣れたからのだから、とても価値あるがある」という意味で、「価値ある一匹」と言うはずです。

よくよく考えてみれば、苦戦した言い訳でしかなく、ちょっとカッコ悪い言葉じゃありませんか?
大袈裟なことを言っているわりには、要はろくに魚が釣れなかったわけですから、素直に負けを認めた方が潔い気がしませんか?

 

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このように、よくよく考えてみると「価値ある一匹」という言葉は非常にカッコ悪いものなのですが、それを使いたくなってしまう釣り人の気持ちはよく分かりますし、実は私も時々この言葉を自分に言い聞かせていたりします。

釣りというものは、とにかく思い通りに成功しないことがほとんどです。
それでも何とか気持ちを切らさずに、釣りを続けなければ成功は訪れないので、釣り人は自分自信を無理矢理にでも納得させ、なんとか心を取り繕って、また釣りをしなくてはなりません。

 

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そこで便利なのが「価値ある一匹」という言葉です。
この言葉を使えば、「こんな時でも一匹釣れたのだから上出来だ、よくやったじゃないか」と、多少強引にでもその日の釣りについて納得することができてしまいます。

こんな言葉で自分を慰めてばかりいるなんて、釣り人というのは、なんとも惨めな人間なのでしょうか。
我々はこれからも、その惨めさに気がつかないふりをして、これからも「価値ある一匹」と言い続けなくてはならないのでしょうか。
なかなか悲惨な趣味を持ってしまったものですね。