たまに釣りをしない人に、サーモンとトラウトって何が違うの?と聞かれることがあります。
スーパーなどで見かける鮭や鱒の仲間に、これらの名前が使われていることがあり、見た目では違いをあまり感じないからでしょうか。
そこまで魚に詳しくない私は、「まあ、何にも違わないよ。似たようなもんだよ」と答えてしまうのですが、この答えはあながち間違ってはいないと思います。
海に降るのがサーモン?
たまに海に降る種類をサーモン、川で育つ種類がトラウトと言う人がいますが、これは違うと思います。
レインボートラウト(ニジマス)が海に降って川に帰ってきたものは、スティールヘッドと呼ばれますし、ブラウントラウトが海に降ればシートラウトと呼ばれています。
この時点で「降海するかしないか説」は破綻してしまいます。
それでは、魚を分類した時に近い仲間かどうかなどで、サーモンとトラウトに分けられているのかと言うと、そうでもないのです。
ブラウントラウトとアトランティックサーモンはかなり近い仲間ですし、キングサーモンなどは、アトランティックサーモンなどとは遠い種で、ニジマスの方が近い種です。
このように、サーモンとトラウトの線引きは、結構滅茶苦茶なことになっています。
これは恐らく、海に降るかなどの生態や魚種の分類などは、名前が付けられたずっと後になってから分かったことが原因なのではないでしょうか。
昔の人は海から上ってくる大きなものをサーモン、川に居るものをトラウトと適当に名付けてみたものの、実際にはもっと複雑な生態をしていて、上手く整合性がとれなくなってしまったのではないでしょうか。
ですから、もう無理に分けて考える必要もなく、「似たようなもので、たまたま名前が違うだけだ」と思ってしまっても良い気がします。
そんなサーモンとトラウトの曖昧さに上手く目を付けたのが、食品の世界です。
レインボートラウト(ニジマス)を海上養殖したものを、トラウトサーモンと名前を付けて売っています。
このようにしているのは、ニジマスと言われるよりも、サーモンという名前がついていた方が食べたがる人が増えて、価値が上がるからだと思います。
さらに近年日本では、ニジマスの育て方を工夫して赤身にしたものや、他のトラウトと交配して作り出したものに、○○サーモンという名前をつけて売り出す事例が続出しています。
これらはご当地サーモンと呼ばれ、それなりに人気があるようですが、これもサーモンという名前そのものに人気があることを、上手く利用していると言えそうです。
このように、サーモンとトラウトには明確な違いはなく、ことに食品の世界になると、もうめちゃくちゃな状態となっています。
釣りをしない人には、あまり細かい魚種の違いなどを気にする人は少ないでしょうし、もし違いを聞かれることがあっても、「同じようなものだ」と言ってしまっても良いのではないでしょうか。