近頃は、トヨタ自動車のCMでも若手俳優達が釣りをしているシーンが流れているくらいですから、釣りが注目される時代になっているのかもしれません。
マスコミが言うには「密を避けられる釣りが人気」とのことですが、はたして本当に密を避けられているのかでしょうか?
私は、なんともおかしな流行の仕方をしているなと思ってしまいます。
「密を避けられるから、釣りをしてみたい」と思うような人が行く場所は、どんな釣り場でしょうか。
いきなり山奥の源流とか断崖絶壁の磯だとか、命の危険があるような場所には行けないでしょうから、せいぜい管理釣り場や釣り堀や海釣り公園や堤防といったところなのではないでしょうか。
そういったところに人が押しかければ、当然人が密集することになります。
実際に「密を避けられる釣りが人気です」というニュースでは、必ず人だらけの密な状態の釣り場の映像が流れています。
毎日満員電車に乗っている人達からすれば、それでも密を避けられている気がするのかもしれませんが、どう考えても都会の街に遊びに行くのと大差はない状態だと思います。
あれをやるのだったら、別にどこに遊びに行ったって同じでしょう。
ああいった光景を見る度に私は「頭大丈夫か?」と意地悪でも言ってしまいたくなりますが、そうなるのは、そもそもがどこか「釣りをする人が増えるのが気にくわない」と思っているところがあるからだと思います。
釣りというものは、基本的には釣り人が少なければ少ないほど、やりやすいものです。
釣り人が少なければ少ないほど、釣り場が空き、魚はスレません。
いつでも自分のペースでのんびり釣りを楽しむことができます。
人口が多く魚が少ない日本では、特にこの傾向が強いです。
ですから、極端に言ってしまえば、釣り人にとっては、自分以外に釣りをする人がいない世界が理想なのです。
釣りというものは、そもそもがこういった性質のものなのですから、釣りがブームになって喜ぶ人というのは、釣り人の中にはあまりいないはずです。
せいぜい釣り具が沢山売れるようになる、釣り具メーカーの人達くらいのものでしょう。
「おいおい勘弁してくれよ」と思いながら、「またじきに廃れるべ」とブームが去るのをひっそりと待っている。
近頃の釣りブームを、釣り人の大半は、こんな風に冷ややかな目で見ているというのが実情なのではないでしょうか。