フランスのメーカー、ミッチェルの古いインスプールスピニングは、とても美しい形をしていて、現代の人が見てもとてもオシャレだと思うのではないでしょうか。
私は、この形だけでなく、色も非常に美しいと思います。
ミッチェルのカラー。
現代のリールは、銀ピカや金ピカの物が多く、子供のおもちゃのような安っぽい輝きを放っています。
しかし、ミッチェルは艶の少ないカラーで、とても品のある落ち着いた雰囲気に仕上がっています。
300という基本モデルは、ブラック。
そのハイスピード版である400(410)は、深いブルーとなっています。
これは、小型のモデルでも同じで、308がブラック、ハイスピード版の408がブルーとなっています。
ブラックもかっこ良いですし、ハイスピード版の深いブルーは、絶妙なカラーでとてもオシャレだと思います。
このようなセンスの良さは、昨今の日本の釣り具メーカーには、とても望めないことでしょう。
会社が傾くと…
ところが、80年代に入ると、ノーマルギアのモデルもハイスピードギアのモデルも同じブラックになってしまいました。
まあ、これはこれでかっこ良いので、私は気に入っているのですが、これはおそらくミッチェルという会社が傾いてきて、モデルごとにカラーを変えている余裕などがなくなってきたのが原因なのではないでしょうか。
この後の90年代には、ミッチェルはかなり酷い品質のリールを作るようになり、それからアメリカの会社に買収され、今では名前だけ辛うじて残っているような状態となっているようです。
色違いを作る余裕がなくなり、品質を徐々に落としていき、何十年もかけてジワジワと滅びていったというのも、なんとも歴史を感じさせてくれて良いのではないかと、私は思います。
ある日突然、いきなり倒産だ買収だ合併だなんてことが起きる今の時代とは違う、ちょっとゆったりとした時の流れが、昔はあったのかもしれません。
現代のリールでせかせかと釣り急がずに、古いミッチェルを使いゆったりと釣りをしながら、ゆったりとした時の流れを感じるのも、おつなものではないでしょうか。