先日、テレビで横浜の海釣り公園のような所で釣りをする様子を見ていたら、「カサゴの稚魚を放流しました。○○センチ以下はリリースしてください。カサゴは成長の遅い魚で、30センチになるのに10年かかります。」というような看板がありました。
私は、成長が遅いことと、リリースを促すことに因果関係があることが分かるような分からないような気がして、なんだかモヤモヤしてしまいました。
放流したばかりの稚魚を持って帰られてしまうと、その魚が子孫を残すことができないために、魚を定着させ殖やすことができませんから、体長制限を設けてリリースの規定を作るのは、当然なことでしょう。
そこで、「○○センチくらいになったら大人だから、××センチ以下の小さな魚は逃がしてください」と書いてあるのだったら、話はよく分りますが、「成長が遅い魚です」と言われても、それとこれとは別な話ではないかと思ってしまいます。
成長が遅くても早くても、小さな魚を釣って持って帰られてしまったら、放流の意味はなくなってしまうのですから。
こんなわけで、なんだかちょっとズレているような、変な看板だなと思ってしまいましたが、それにしてもカサゴは30センチになるのに10年もかかるとは、びっくりな話ですね。
そうなってくると大きなカサゴを持って帰ってしまったら、根魚は回遊してくるような魚ではありませんから、そこに居る小さな魚が大きくなるまでは、長い間大きな魚は釣れないことになってしまいます。
そうこうする内に、誰かが小さなカサゴも持ち帰ってしまったら、もうその場所の魚は絶滅に近い状態になってしまうでしょう。
このように定着性が強く、他の場所からの魚の補充が起こりにくい根魚というものは、かなり釣りによる影響を受けやすいものだと思います。
近頃、根魚をロックフィッシュなどと呼びルアーで釣るのが流行していますが、こういったことを頭に入れて、気をつけて釣りをしていかないと、どんどん釣り場を潰していくことになるのではないでしょうか。
大きな魚を持って帰れば、長い間大きな魚は釣れなくなり、小さな魚を持って帰れば、将来的に魚が減ります。
こう考えてみれば、もう寿命が近く子孫を残す可能性が低い超大物を持って帰るのが、一番影響が少ないのかもしれません。
とにかく、根魚は減りやすい魚のようですから、このブームの何年後かには大変なことになる可能性もあります。あらゆる釣りの中でも特にキープは最低限にする必要があるのではないでしょうか。