ちょっと古い数年前のフライフィッシャーという雑誌をペラペラとめくっていたら、近頃テレビの情熱大陸という番組に出演した、渓流のフライフィッシングで有名な人の記事がありました。
記事とは言っても、ほぼその人が関わっている商品の宣伝のような内容で、釣り雑誌の悪しき記事の典型のようなものだったので読み飛ばそうかと思いましたが、余程暇だったのか、その日は落ち着いて読んでみることにしました。
そして、私はその内容に衝撃を受けました。
なんと、ヤマメを釣るのにバーブありのフックを奨めていたからです。
理由は、ヤマメはバレやすいからだそうです。
世界には法律でバーブのあるフックの使用が禁止されている国があったり、日本国内でも使用の禁止される場所が増えているこの時代に、堂々と雑誌でこんなことを言う人がいるとは、ちょっと驚きですね。
世界中で、バーブレスフックを使うことが推奨されているのは、魚を逃がす場合に与えるダメージが小さいからです。
ヤマメのような小さな魚は、特にカエシによるダメージが大きそうですから、バーブありとバーブレスでは、かなり違いが出てきそうです。
ですから、少しでも魚のことを考えるのなら、バーブレスフックを使うべきでしょう。
また、バーブレスフックを使うとバレることが増えるのは、あくまで人間側の都合であり、「魚に与えるダメージ」を観点にフックを選ぶのなら、そのことはカエシのあるフックを使う理由にしてはいけないと思います。
それにしても、そもそも、ヤマメってバーブレスフックを使うと、バレることが増えますかね?
ルアーのプラグにシングルのバーブレスフックを使うと、ヤマメはかなりバレやすくなりますが、フライでバレやすいと感じたことは、私は一度もありません。
あんなに小さな自重のないフライが一度刺されば、そう簡単には抜けませんし、バーブレスだからってバレやすくなるとは、とても思えないのですが。
私が今まで読んだ本でも、よくバーブレスでも大差はないからと、バーブレスフックを奨めていることが多かったですから、ほとんどの人がそう思っているのではないでしょうか。
それに、仮にバレることが増えたとしても、ヤマメなら沢山いる魚なのですし、そんなにカリカリする必要があるのでしょうか。
一生に数回しか掛からないような魚でもないのですし、広い心で「バレちゃった」と笑ってあげれば良いのではないでしょうか。
こういった状況なのに、魚が居ないと成り立たない商売をしている人が、わざわざ魚を傷つける可能性が高くなるフックの使用を、堂々と雑誌の記事で奨めているとは、ちょっと頭が足りないのではないかと思ってしまいます。
また、こういった記事を堂々と載せてしまう雑誌側も、ちょっとどうかしているのではないかと思ってしまいます。
海外だったら、炎上ものの記事なのではないでしょうか。
「小さな魚を小さい人間が釣っていると、心が狭い釣果第一主義の釣りになる」という、いかにも日本的な釣りの特徴は、フライの世界にもしっかりと根付いているのかもしれないと思わせられる記事でした。