空港でバズーカと呼ばれるロッドケースを持った人を見かけるのが、そんなに珍しくない時代になりました。
釣りをしない人々にとっては、不審物を持った不審者にしか見えないと思うのですが、私は不審者の仲間なので「どこ行くのかな～？グッドラック！」と遠巻きに眺めながらほくそ笑んでいます。
このように気軽に海外に釣りに行けるようになった時代において、海外に釣りに行くと、どんな良いことや悪いことがあるのか、今回は少し考えてみましょう。
海外釣行は、ハイリスク・ハイリターン。
いくら気軽に海外に釣りに行ける時代になったとは言え、どこに行くのにもそれなりにお金がかかります。
また、海外での貧乏旅に慣れていて、何でも安く自力で手配して移動し宿泊できるような人でもない限り、釣り旅行となると通常の観光旅行よりもお金がかかります。
しかし、お金をかけた分だけ、日本とは比べものにならないくらいの自然と魚が待っているはずです。
そのはずなんですが…
よくよく考えてみれば、普通の日本人が釣りに来られるような場所には、当然世界中からいくらでも釣り人が来ているわけで、釣りの楽園のような場所であることは滅多にないはずです。
ですから、相当な未開の地にでも行かない限り、あまり甘い話はなく、苦戦することも多いはずです。
しかし、上手くいけば日本では絶対に出会えないような魚を釣ることができるのも事実なわけで、そんな夢を抱いて多くの人が海外に釣りに行くのでしょう。
つまり、海外での釣りは、大金を注ぎ込んで失敗に終わるというリスクを抱えつつも、夢のような魚を釣ることができるという可能性もある、ハイリスクハイリターンの釣りだと言えるでしょう。
海外釣行の結果、３パターン。
海外に釣りに行った結果がどうなるかは、大きく３パターンに分けられます。
どの結果にもなる可能性があることを覚悟してから、海外に釣りに行くべきでしょう。
１．全然ダメ。金と時間の無駄。
まず、海外まで釣りに行っても、釣りができない可能性があります。増水、波浪などの気象条件により、全く釣りができないかもしれません。
また釣りができたとしても、たまたま条件が悪かったりして、さっぱり魚が釣れないかもしれません。
もうお金と時間をドブに捨てたようなものですし、その場で身投げしたくなるか、本気で釣りの引退を考える機会にもなります。
２．そこそこの釣果で自分を無理矢理満足させる。
海外に釣りに行って一番多いパターンが、目標からは程遠いが、なんとか魚の顔は見られたというような結果です。
最悪の結果は免れたのですから、「これで良かったのだ。旅も楽しめたし」と自分に言い聞かせ、無理矢理満足させることができます。
しかし、このように無理に自分を満足させても、それはどこか自分の気持ちに嘘をついていることなのだと、自分が一番良く知っているはずです。
嘘で固めた満足感は崩れやすく、帰国して少しの時間がたてば、必ずリベンジしたくなってくるものです。
３．大成功。
「もう一生分の運を使ってしまったのではないか」と思えるほどの大成功。
もう言うことなしです。お酒を飲みすぎて、ちゃんと帰国できなくならないようにだけ注意すれば良いのです。
そして、これを一度味わってしまうと、どんどんと海外に釣りに行きたくなり、経済的には危険です。
このように考えてみると、海外に釣りに行くと大失敗して落ち込むか、リベンジか再現のためにまた外国に行きたくなるかであり、何れにしても待っているのは地獄なのかもしれません。
余程お金と時間に余裕のない人は、やめておいた方がよいのかもしれませんが、それはそんなに悪い地獄ではないのです。
自然の破壊つくされた小さなこの国では味わえない、貴重な地獄の体験なのです。
釣りなんてものは、何処で何をしたって苦しい時間の方が多いものなのですし、せっかくならより大きな苦しみを味わい、もしかしたら天国に行ける可能性がある方がよいのではないでしょうか。
釣り人が多く魚が少ないこの国には、天国はないのですから。
