釣りにゃんだろう

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忠さんのスプーン マスター

忠さんのスプーンというとバイトが有名ですが、それとはまた違った持ち味を持ったスプーンにマスター(master)があります。
ちょっと使う人の少ないこのスプーンについて、今回は見ていきましょう。

 

マスターの特徴、バイトとの違い。

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上の細身なのがマスター、下がバイト。


マスターは、バイトとはかなり性格の違うものです。スプーンの神様である忠さんが、同じようなスプーンをわざわざ発売するわけはないので当然のことでしょう。
そのあたりを比べつつ、マスターの特徴を見ていきましょう。

マスターの基本型は12グラムであり、他のサイズは後から開発されたものです。
やはり、スプーンの基本的なサイズというものは、このくらいのものなのではないでしょうか。
あまりに小さいスプーンを使うような釣りは、セコくショボいものであり、わざわざルアーで釣るような魚でもないのかもしれません。

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裏面には、開高健の筆跡でマスターアングラーの刻印が入っていて、カッコイイですね。

さて、マスターの形状をバイトと比べてみると、マスターの方がずっとスリムです。
それから、アール(曲がり)もカップの深さも、バイトよりもずっと小さいです。

このようなスプーンはどのようなアクションをするかと言うと、引き抵抗が小さくヒラヒラと軽快に泳ぎます。
また水の掴みも弱いので、浮き上がりやすくなります

このようなアクションなので、マスターはあまり深くない所をサーッとテンポよく探ってくるのが得意なのではないでしょうか。
川なら瀬を広範囲にチェックしたり、湖ならシャローを探ったり、といった使い道が考えられます。
忠さんは、マスターを琵琶湖のウィードの上を泳がせてバスを釣りまくったという話を残しています。

 


マスターの使い方をマスターしてマスターアングラーになれるか。

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私自身は、実はあまりマスターで良い思いをしたことがなく、イマイチ得意ではないルアーであります。
しかし、ケースの中には常に一つはマスターを入れています。何故かというと、他のスプーンとは違った持ち味があることもありますが、マスターで良い魚が釣られるのを目の当たりにしたことがあるからです。

 

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ある年ある場所で、ある一人の方と一日釣りを一緒にしていたのですが、朝から何匹釣っても、どうにも小さな魚ばかりでした。
とうとう夕方になり、私は少し遠くまで歩いて場所を変えてみましたが、結果は芳しくありませんでした。
夕焼けに包まれる中、私はガラゴロと石を鳴らしながら、始めの場所に戻ってきました。

すると、同行していた方は、大きな石に座り込み夕焼けを見つめながら、満足げに一服しています。
そして、私の顔を見るなり、「釣れたよ、そのボサの間のところ」と笑顔を浮かべましたよ。

ついさっき逃がしたばかりだと言う魚の写真を見せてもらうと、90センチほどのイトウでした。
こうなってくると、釣り人としては「何で釣れたんですか?」と興奮気味に聞かずにはいられません。

そして、「これ、これ」と差し出されたのは、夕日の中で金色に輝くスリムなスプーン、裏返してみるとこう刻印がされていました「master angler」

 

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やはり、名の知れたルアーには釣れる能力があるのは、間違いないのでしょう。
後は、使う側の人間にそれを有効に使いこなすことができるか、ということが問題なのだと、私はこの時深く実感しました。

あれから何度か、私は「ここはマスターだろう」という場面でマスターを投げていますが、なかなか好釣果には恵まれません。
まだまだ私は、マスターの使い方をマスターできていないようです。