アブマチック60(ABUMATIC60)は、1957年~62年に製造された、スウェーデンのアブ社製のスピンキャストリールです。
温もりのある仕上がり。
アブマチックの中では最小のモデルで、初期のものなので、構造はとてもシンプルです。
何よりもボディの曲線やカラーが美しく、可愛らしくくも、しっかりとした質感は、手にしているだけでも、ほっこりとしてきます。
このような感覚は、近頃の機械のような無機質な冷たいリールでは味わえないものです。
スピンキャストリールは、キャストが簡単で初心者にも扱いやすいものです。
アブもその点を売りにしていたのか、発売当時の宣伝を見ても、女性が扱っている絵や写真が多いです。
このような、「スピンキャストリール=初心者、子供、女性」というイメージが、この種類のリールが、日本の釣り人から、大きな支持を得られなかった原因がある気がします。
やはり釣り人は、「何か難しいものを使いこなしている」という感覚に、酔いたいものなのではないでしょうか。
まさかのタダでゲット。
私は、この美しいリールを、なんとタダでゲットしてしまいました。
ある時、ヤフオクでリールを一台落札すると、出品者の方から「おまけを入れておきました」とメッセージがありました。
ルアーか何かだろうか、と思いながら、箱を開けてみたらびっくり!
このリールが入っていたのです。
慌ててお礼を言うと、「良いものですから、大事に使ってあげてください」とおっしゃるではないですか。「オールドタックルが好きな人には、なんとも粋な人がいるもんだなぁ」と感激したものです。
それ以来、それほど出番は多くないのですが、私は大切に使い、このリールに時々魚の引きを味合わせてあげています。
使用感。
ベイトリールのようにバックラッシュする心配や、スピニングリールのようなライントラブルは無いので、キャストは快適です。
管理釣り場などで女性に貸してみても、すぐに使いこなすことが出来ていました。
ただし、ギア比が低く、かなり巻き取り速度が遅いので、リトリーブする時は、他のリールを使う時よりも、早くハンドルを巻かないと、調子が狂ってしまいます。この点だけは、注意が必要でしょう。
通常の巻き取り時はドラグがロックされていて、ハンドルをカシャっと90度ほど逆回転させると、ドラグが作動する、シンクロドラグという機能が採用されています。
これは、スピンキャストリール特有の巻き取りパワーの弱さを補うためだったと考えられています。
実際にこの機構は有効なようで、イトウの穴釣りという、あらゆる物が凍り付く環境で、垂直に大きな魚を上げなくてはならない、かなり特殊な釣りでも、難なく魚を引き上げられました。
ドラグを作動させるタイミングを自分で判断するというのも、なかなかスリリングで面白いものです。
小さなリールですが、使いようによっては、凄い釣果を上げられるようです。
アブの古いカタログには、ノルウェーのおばさんが、このリールを使って35ポンドのサーモンを釣り上げた写真が載っています。
私は、この写真を見る度に、「こんな古い時代の小さなリールで、こんなに大きな魚が釣れるのだから、オレだって」と熱い闘志が湧いてきます。
Abu Garcia 10-C Abumatic SX Spincast Reel (海外取寄せ品)
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