いつだったか、シマノ提供のテレビの釣り番組を見ていたら、「これはあまりに貧果だな」ということがありました。
一時間番組で、九州で四日間ほど釣りをしていて、小さなカサゴとセイゴが一匹ずつという釣果だったのです。
これでは、この釣り場に行ってみたいと思うような人はいないでしょうし、何よりも散々番組内で繰り返されたタックルや釣り方に関する解説の説得力がゼロで、メーカーの宣伝という釣り番組の目的からすれば、完全に失敗作ということになるでしょう。
こんな釣り場では、こんなロッドが良いとか、この状況ではこのルアーだとか、リールはハイギアが便利だとか、とにかくひたすら説明をしているのに、魚はろくに釣れないなんて、見ている人からしたら「いやいや、釣れないじゃん」と笑ってしまいたくなるものでしょうし、相当間抜けな光景に見えたはずです。
私も、「口では商品の宣伝ばっかりで、ろくに魚が釣れないなんて、こういう釣り人にはなりたくないな」と思ってしまいましたが、よくよく考えてみれば、出演者の人も可哀想なものですね。
テレビ番組なので黙っているわけにはいかないでしょうし、どんなに釣れなくても、とにかくシマノの製品を説明しなくてはならないのでしょうし、釣れない時間が続けば続くだけ、どんどんと地獄の底に落ちていくような、悲惨な時間を過ごしていたのではないでしょうか。
これだけ長い時間釣りをして、ほとんど魚が釣れないとなれば、釣り人の腕の問題というよりかは、その時の海のコンディションの問題のはずですし、どうしようもなかったのでしょう。
釣り番組では、このようにろくに魚が釣れないことがよくあり、そんな時は、「釣れねぇじゃん!」とバカにしたくなるものですが、それは良くないことなのかもしれませんね。
そういった番組で釣りをしているのは、極限まで追い込まれた、とにかく可哀想な釣り人なのですから。
これからは、「可哀想に」と悲劇を見るように哀れみの目で見ることにしましょうか。