釣りにゃんだろう

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海の香りのするアメマス。

私は、海アメと呼ばれる海を泳いでいるアメマスは、一度も釣ったことがありません。
サーフなどで釣っても、魚を水に浸けて綺麗に写真が撮れないでしょうし、ちょっと間違えば魚を痛めてしまいそうなので、とてもでやる気が起きないからです。

それでも、海アメに近い状態の魚は釣ったことはあります。

 

道東の中規模河川の河口近くで、ウェーディングしながら釣りをしていると、ひたすらアメマスが釣れることがありました。
道東の川は自由にウェーディングできる場所が少ないですし、チャプチャプと好きなだけ水の中に立ち込み、広々とした場所でフルキャストして魚を釣るのは、なんとも気持ちが良かったものです。

 

そんな場所で釣れるアメマスには、まだ海から入ってきたばかりの個体もいるようで、明らかに川で釣れるアメマスとは違うものが多かったです。

魚体に軽く触れてみると、なんだかプニプニとしていますし、何よりもちょっとだけ潮の香りのような、独特の匂いがしたのです。

そんな香りをかいでいると、「ああ、本当にこの魚は、広い海にでかけていたのだな」と実感できましたし、決してそう大きくはない身体で海をサバイブしてきた逞しさも感じました。

そんな危険と苦労の多そうなアメマスの暮らしを考えてしまうと、釣ったのがなんだか申し訳なくなってくるほどでした。

 

これから、この魚がどんな人生(魚生?)を送るのか、また海に出かけるのかは分かりませんが、とにかくもう人間なんかに釣られずに自由に生きてくれること祈り、プニプニとした身体を川に押し出してリリースしました。

逃がした後もしばらくは、私の手からはちょっぴり海の香りがして、束の間のアメマスとの出会いを心に刻み込むことになりました。

あれから、もう何年か経ちますが、あのアメマスは元気にしているのでしょうか。
今はどこで暮らしているのでしょうか。
そもそもが釣られやすいような種類の魚ですから、また釣られて酷い目にあっていなければ良いのですが…