いつだったか、ボートから釣りをする人が多い湖で、岸から釣りをしながら、ボートに乗った人達を眺めていたら、ちょっと面白い光景を見かけてしまいました。
そのボートには、小学生くらいの男の子と父親といった親子らしき二人が乗っていたのですが、子供は全く釣りをしていないのです。
船首側に座り込み、風と波に揺れるボートの上で、ひたすらゲームをしています。
一方で父親はかなり必死に釣りをしているようで、忙しなくエンジンを使い湖中を走りまわり、ルアーを投げ続けていました。
春先のまだ結構風の冷たい時期でしたし、そんな中で湖上を走り回り揺れるボートの上にうずくまりゲームをし続ける子供は、根性があるとも思えますが、可哀想な気がしてなりませんでした。
こんな状態なのですから、どう考えても子供が釣りに行きたいと言っていたとは思えません。
おそらく、父親が「でかけるなら子供も連れていかなくてはダメだ」などと家族に言われたといった理由で、無理矢理引っ張り出されてきたのではないでしょうか。
まあ、こんな時代ですから、家に籠ってゲームをしてばかりではなく、たまには湖上のような空気の良い場所でゲームをするのも悪くないかもしれませんが、吹き曝しのボートの上とは、あまりに過酷な条件すぎて可哀想でなりません。
釣り人というものは、結構自分勝手な人が多いと思いますが、やはりあの父親もそんな一人だったのではないでしょうか。
そんなことを言っている私も、充分に自分勝手な釣り人ではあるので、もし私が同じ境遇になった場合、キッパリと釣りを諦めて、子供のために休日を使えるかどうか。
たぶん、そうできるだろうとは思ってはいるのですが、毎日自分勝手に釣りのことばかり考えていると、ほんのちょっとだけ自身がなくなってきてしまうのでした。
