釣りにゃんだろう

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釣りのガラパゴス化 湖で岸からフライフィッシングをする日本の釣り。

何かが特定の一部の地域で独特な進化を遂げることを、最近の世の中ではガラパゴス化と言います。
ガラケーといった言葉も生まれるくらい定着している言葉ですが、このガラパゴス化は日本の釣りにも結構見られるのではないかと、私は思います。


湖で岸からフライフィッシングをする。

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この日本の釣りのガラパゴス化のよい例として、湖で岸からフライフィッシングをすることがあります。

湖の岸辺にずらりと釣り人が立ち並び、必死に遠投してフライフィッシングをしているというのは、他の国ではあまり見られない光景なのではないでしょうか。
世界的には湖でフライフィッシングをするならボートを使うというのが定番で、水に浸かって必死に遠投するというスタイルは一般的ではありません。

 

このようなスタイルが日本で盛んになったのは、どうしてでしょうか。

まず、ボートというものがあまり普及していなかったという理由が考えられます。
海外ではちょっと釣りの好きな人なら、ボートくらい持っているのは珍しくないことだと思いますが、日本ではそこまで普及していません。これは、住宅事情や経済的なものによるところが大きいでしょうか。

また、持っていないのならボートを借りようと思っても、ボート屋さんのない湖もたくさんあります。それから、ボートが禁止されている湖も多いです。

このようにボートがそれほど普及していない上に、「岸から釣った方が楽しい」、「岸から釣った方が偉い」というような思想が、日本人の釣り人の中には蔓延しているようなところがあります。

これは、ボートから釣っている人からすれば、ボートを持っていない貧乏人の僻みのように聞こえるかもしれませんが、確かに地面に足を着けて岸から釣った方が楽しいという気持ちを持つ人も少なくないでしょう。
私も、できることならどんな釣りでも船からは釣りたくないと思いますし、ボートから釣った魚はノーカウントにしたいくらいですし、この感覚は日本人特有のものなのかもしれません。

このように、ボートがあまり普及していないという事情と岸釣り至上主義のような思想が合わさり、日本人は湖で岸からフライフィッシングをするようになったのではないでしょうか。


さらに独特な進化をして…

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さて、ここまでは結構自然な流れだと思いますし、その気持ちはよく分かるような気もしますが、日本のフライフィッシングの岸釣り文化はここからさらに独特な進化を遂げていくことになります。

風が強かったり、バックスペースのない場所でもキャストできるように、ダブルハンドロッドで水面を使うキャストが大流行し、あちらこちらでビシャーっとラインで水を掻き回す人々が見られるようになりました。

確かにそういったことは有効な場面もあるでしょうし、そうしなげれば釣れない魚も居ることでしょう。
しかし、そうしなくても釣れる魚も沢山いるわけですし、そんなに遠くに投げたいのならルアー釣りをしたらどうなんだ?とも思えてきます。

無駄に長く、魚とのやり取りもつまらないようなロッドを持ち、ズラリと岸に並んで、ビシャーっと水を掻き回しているのを眺めていると、なんだか急に貧乏くさくて頭の悪そうな集団に見えてきます。
そういった道具を使うのなら、やはり本来想定された使用場所である大きな川でゆったりと釣りをするのが似合うのではないでしょうか。

さらに言うなら、そういった人々の大半が自分で考えたり工夫して、そういったスタイルに辿りついた可能性が低く、ただ単に流行に乗っただけの人々である可能性が高いのです。

 

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ここで、ちょっとシングルハンドロッドとダブルハンドロッドの値段を比べてみましょう。
ちょっと材料が増えるだけなのに、ダブルハンドルのロッドは妙に高くなっていませんか?
ルアーロッドなどは、長さの違いで、ここまで値段が違うことはありません。
この価格設定を見ていると、湖でダブルハンドルロッドを使うことが流行したのは、それまであまり普及してなかったダブルハンドロッドを高い値段で売り儲けようとした、ロッドの販売者側の企みであったのではないか、と思えてきてしまいます。
ダブルハンドロッドが流行り出したのと、日本のフライフィッシングブームが衰退してきた時期もだいたい同じような気がするのは、気のせいでしょうか。

その企みに見事に乗った人々は、高くて長いロッドを買い、時には足元にいる魚をラインで叩いて散らして釣りをしてきたのではないでしょうか。

そして、よくよく考えてみれば、高いダブルハンドロッドを何本も買うお金があるなら、とっくにマイボートが買えていたのではないでしょうか。
貧乏くさく岸から釣りをせずに、ボートからシングルハンドロッドでスマートに軽快に釣りをするという選択肢もあったのではないでしょうか。

 

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このような現象を見ていると、自分の釣りに何が必要で何が有効なのか、自分の頭で考えておらず、ただ流行に流されるままに釣りをしている釣り人が、この国には沢山居る気がしてなりません。
ガラパゴス島の動物は環境に適応して『進化』していったものですが、日本人の釣り人も本当に進化してきたのでしょうか。
もしかしたら、ガラパゴス化という言葉を使うには、ガラパゴス島の動物達に失礼なのかもしれませんね。