古い釣りの本などを読むと、魚のエラに手を突っ込んで持ち上げている写真がよく載っています。
海の魚だろうと、川の魚だろうと、釣れたらとりあえずエラに手を突っ込んで持つのが、昔は当たり前だったのでしょう。
しかし、現在では、こういった行為は、「魚に致命傷を与えかねないため、リリースするのならば良くない」ということが広く知られるようになってきたのか、あまり見かけられなくなってきました。
それでも、今でも稀に年配の釣り人を中心に、魚のエラに手を突っ込んで持ち上げる人がいます。
これは、あまり褒められた行動ではないのかもしれませんが、仕方のないことだと思います。
そういった年代の人達が釣りを覚えた時代には、そうすることが当たり前であり、何も悪いとは思われていなかったのですから。
70年代に出版された忠さんのスプーンで有名な常見忠さんの本の中にも、魚のエラに手を突っ込んでランディングする方法が紹介されていたりします。
常見忠さんは、他の文章などを読むと分りますが、この時代の釣り人の中では、かなり魚に優しいタイプの人間だったようです。
そういった人でさえ、魚のエラに手を突っ込んでいたのですから、ほぼ全ての釣り人が何の疑いもなくやっていた行動だったのではないでしょうか。
このように、ある程度の年配の釣り人達は、魚のエラに手を突っ込んで持つことは、悪いことだとは知らずに歳をとってきたのです。
もちろん、時代の流れとともに、その行動を改めた人もいるのでしょうが、人間が昔から行ってきた行動を変えるというのは、中々難しいものですから、そのままになっている人も沢山いるはずです。
そういった人達に、今さら行動を変えさせるのは、ちょっと酷な話なのかもしれません。
自分達の時代の価値観に基づいて生きてきただけで、何も悪いことをしている意識はないのですから。
それに、無理に行動を変えさせなくても、釣り人の世代交代が進めば、そう遠くないうちに、魚のエラに手を突っ込んで持つような人達は激減するはずです。
ですから、この問題は、時間が解決してくれるのを待つのが一番良いのではないかと、私は思っています。
まあ、それにしてもエラに手を突っ込まれて魚が血だらけになっていたりするのを見かけると、もうちょっと何とかならないものかと、思ってはしまいますがね。