私は、まあまあ良いカメラを持っているわりには、なかなか釣り場の景色の写真を撮りません。
いや、正確には撮りませんというよりは、撮れませんと言うべきなのかもしれません。
せっかく美しい自然の中にいることが多いのに、どうしてろくに写真が撮れないかと言うと、景色を眺めたり写真を撮るだけの心の余裕がないことがほとんどだからです。
まず、釣りに来たのですから、魚を釣りたいと思うのは、当たり前のことだと思います。
それも、できれば釣りに来るまでのここ数日間、自分の頭の中に描いていたような、大きかったり美しかったりする理想の魚を釣りたいわけです。
そのような魚が釣れて、その写真を撮って、ようやく初めて景色を眺める余裕が出てきます。
それまでは、私の視野はどうしても狭く、せっかく美しい景色の場所に来ても、ろくに景色を認識していなかったりするのです。
ここまではいかなくても、とりあえず魚を釣るまでは、どうしても落ち着いた気持ちになれないということが、釣り人の皆さんにもあるのではないでしょうか。
この釣り独特の「とにかく釣れなきゃ始まらない」というような、急き立てられるような気持ちは何なんでしょうか。
この感覚が、釣りの中毒性も生んでいる気がするのですが。
人間を狂わす、なかなか危険な釣りの力だと思います。