早春などに魚を釣ると、サビと呼ばれる黒ずんだ魚体であることがあります。
冬から春に向かうにつれて、魚からこのサビが抜けて綺麗な銀色の魚体になっていくわけですが、釣り人の中には昔からこのサビた魚体を嫌う人が多いようです。
確かに、盛期の魚の透き通るような美しさと比べると綺麗なものではありませんし、まだエサの少なかった冬場の状態を引きずっているようで、ちょっと痩せていたりと魚のコンディションもイマイチだったりします。
だいたいの釣り人は、よく肥えてピカピカの魚を釣りたがるものですし、サビた魚を釣ると「まだサビが残っているな」と残念がる気持ちも分からないでもないですね。
ただ、私はサビた魚はサビた魚で、厳しい冬を生き抜いてきた渋さや凄みがあるような気がするので、そこまで嫌いではありません。
逞しさや風格のようなものも感じますし、美しさでは盛期の魚に負けるにしても、これはこれで良いものだと思います。
しかしながら、魚からしてみれば、まだちょっとお疲れで元気が無い状態なのでしょうし、釣られるなんて大迷惑でしかないでしょう。
良いものだとは思いつつも、いつも以上に負担をかけずにリリースしなければならないタイプの魚ではあると思います。
「なんだサビた魚か」と残念がったりせずに、お疲れのところ申し訳ないと思いながら、その渋さと威厳を数枚ささっと写真に収めたら流れに戻す。
これが私なりの、サビの残る魚達との付き合い方となっています。