先日、故郷の近くの川の側をちょっと散策していると、夏らしく鮎の友釣りを行っている人が結構な数いました。
天然鮎がそれほど遡上してくるような場所ではないので、かなりの量の鮎が放流されているということなのでしょう。
友釣りをするとなると、おとり鮎が必要になりますから、川沿いの街道には、いくつか「おとりあります」というような看板を出したお店がありました。
そんなお店を眺めていたら、私は思わず「えっ!」と声を上げてしまいました。
どうして声を上げてしまったかと言えば、おとり鮎が一匹600円もすると書いてあったからです。
釣りを開始する時点で600円掛かるというのは、私の金銭感覚からすると、結構高いとしか思えません。
ルアー釣りに例えたら、毎回スプーン2個を無くした状態で釣りを開始するようなものです。
さらに、一匹のおとりが弱る前に鮎が釣れて交換できれば良いのですが、場合によってはおとりが二匹必要になってくることもあるのではないでしょうか。
それに加えて、その川の入漁料は一日2,000円ちょっとしていました。
つまり、一日釣りをするには、3,000円程度は掛かるということになります。
入漁料は年券を買えば、少し節約できるかもしれませんが、これは結構な値段だとは思いませんか?
鮎釣りをする人には、年齢的に年金生活者が多いでしょうが、比較的恵まれていると言われている現在の年金受給者の中にも、あまり貰えていない人は結構いるはずです。
そういった人達が、高価な道具を揃え、高い入漁料を払い、さらに高いおとりを買うとなると、あまり気軽にできることではないでしょう。
日頃から節約をしたり、配偶者に小言を言われるなどの困難を乗り越えて、ようやく川に立てているという人も沢山いるのではないでしょうか。
そう考えてみると、川に立ち混む釣り人達の背中から、哀愁のようなものが急に感じられるようになってきた気がしてなりません。
釣り人というものは、老いてなお、金や雑事に追われて川に立たねばならないものなのでしょうか。
おとり鮎600円という張り紙に、いくつになっても釣りをするのは楽ではないんだという現実を突き付けられているような、そんな気がしてしまうのでした。