川や湖でトラウトの仲間を釣る場合、夏期などの渇水状態は、あまり歓迎されないことが多いようです。
鮭科の魚は基本的に冷水性の魚ですから、夏場の渇水で水温が上がり流れも弱くなった状態では、どうしても活性が低くなり、反応が悪くなるため釣りづらくなるとされているからです。
ところが、私の個人的な経験だけから考えてみると、渇水状態の時は、むしろよく釣れてしまったことが多い気がします。
まず、渇水状態になると、当たり前の話ですが、水のある部分の容積が減り、浅い場所も増え、魚の居られる場所が凝縮された状態になるはずです。
普段大きな水槽に居た魚達が、小さな水槽に移されたような状態になるわけです。
単純に考えてみると、普段よりも魚と接触する機会が増えるわけですし、大きな川なら日頃は届かないような場所に居た魚にも、接近できる可能性も高くなってきます。
それに加えて、水温が高くなると、魚達は少しでも快適な水温が低い場所を求めて集まりがちになります。
具体的には上流部や支流の合流部や流れ込みなどです。
ですから、渇水時には魚が濃縮されて固まった状態になることが発生しやすく、こういった場所で早朝など魚の活性がわずかに上がる瞬間に釣りができれば、まとめてどっさり釣り放題なんてこともあるのです。
もちろん、干ばつレベルの魚の生死に関わるほどの渇水や高水温の場合は、さすがに釣りには向かないと思いますが、多少の渇水なら上手くポイントを選ぶことができれば、かえって魚が釣り易いことも少なくないと思います。
ただ一つ気をつけなくてはならないのは、高水温期には釣った魚が大変弱りやすいということです。
リリースする場合には、流れの強い浅瀬で写真を撮り、できる限り早めに逃がすなど、いつも以上に魚に負担を掛けないように気をつけることが大事になってくると思います。