昔から、川で巨大な魚を目撃した時には、「沈んでいる丸太が動いたと思った」というような表現が使われるものです。
確かに巨大な魚というもの沈木のように太かったりしますし、そう見間違えることもあるのかなとも思います。
しかし、そういった表現に見合うだけの魚が現在もいるかどうかは、大いに疑問なところです。
根掛かりして引っ張ってみたりすると分かりますが、沈木というものは陸から見ていた時の予想以上に大きなものです。
それと同等の迫力に見える魚となると、2メートルくらいあるのが普通なのではないでしょうか。
細めの木に見えるのだとしても、1.5メートルくらいの魚でないと見合わない気がします。
そんなサイズの魚は、日本ではもう何十年も前にほとんど居なくなってしまったはずですから、ここ30年くらいの間の「丸太が動いた」という話は、ちょっと大袈裟な法螺話だと思って良いのではないでしょうか。
木だと思っていた物が動いたにしても、現在では「枝が動いた」程度の表現がぴったりのはずです。
もう日本の川には動く丸太は生息していないのです。
なんだか夢が無くてつまらない気もしますが、もう真面目に「丸太が動いた」と言える時代ではないのですね。
いつかまたそんな日が来るなんてことも無さそうですから、その内忘れさられる表現なのかもしれません。