イトウなどを釣っていて、何十年も釣りを続けてきたベテランのような釣り人達に出会うと、皆さん口々に「魚が小さくなった」と言います。
そして、「川の水量が減ったからでは」というようなことも、合わせて言うことが多いです。
こういった話を聞く度に、私は「なるほどなぁ」と納得してしまいます。
毎年のように数10キロもあるような魚が釣られていた時代と、今の川の状態を比べてみると、水量が半分くらいしかないそうです。
おそらくこれは、保水力のある山林が減ったり、土地が痩せてしまったことが原因かと思われます。
また、雪が減ったりといった気候の変化も原因かもしれません。
魚が昔よりも小さくなった原因は、河川工事などの川そのものの開発や釣り人の乱獲が原因だと言われていますが、土地全体の開発や気候の変化により川の水量が減ったことも原因の一つかもしれません。
小さな水槽で育てた魚があまり大きくならないように、生き物の大きさというものは、ある程度は生息する空間の広さに影響を受けるのではないでしょうか。
例えば、水深が1メートルしかない川では、体長が150センチもある魚は住み辛くてしょうがないはずですから、魚がそこまで大きくは成長しないはずです。
もっと深い川でなければ、そこまでは大きくならないでしょう。
もちろん、魚の成長には餌の量など他の様々な要素も影響してくるでしょうが、川の水量と魚のサイズというものは、ある程度比例してくるのではないでしょうか。
私がよく釣りに行くモンゴルでも、130センチ以上ある魚がコンスタントに釣れるのは、ロシア国境近くの北部の森の中を流れる水量が半端なく多い川です。
その水量は、「釣りをするのが難しくなるから、もう勘弁してくれ」というほどです。
モンゴルらしい痩せた土地の草原地帯を流れる水量が少ない川では、魚の平均サイズが明らかに小さいですし痩せています。
この2タイプの川の状態を比べてみると、水質や餌の量にも差はあるでしょうが、やはり水量が多くないと、魚はとんでもなく巨大にはならないと言えるのではないでしょうか。
日本の川の水量が昔のように増えることは今後はないでしょうし、むしろ減っていく一方だと思います。
世界的に見ても、川の水量は減少していく傾向が強いのではないでしょうか。
こうなってくると、今後いくら魚の産卵環境が整えられたりと川の環境の改善が進められることがあったとしても、もう昔のように巨大な魚が再び現れることはないのかもしれません。
すでに地球の環境そのものが、魚が小さくなる方に向かっていってしまっているのですから。